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ちょっと陽気な逃避行
落ちている
冷たい月が刺さる秋
魔法使いの棲む屋根は赤
教えてと
君に頼ってばかりだね
なんだか優しい瞳をしてるから
そっと手を
取って白くて長い人
さし指をくるみたい夜
その星座
君の魔法でふたりだけ
笑えるみたいに星を動かす
砕かれた
氷のカケラが頬を打つ
ような氷雪帝国の歌
夜明けまで
電車に揺られふたりきり
だった車輌で「初めてのチュー」
暗がりの
ホームに差し込む陽光に
ふたりの影が長く伸びてた
木の葉舞う
未来が虚空に舞っている
氷のカケラがほお撃つ黎明
手を取って
ちょっと陽気な逃避行
僕らの世界を真白く照らして
きっと僕
が絶対明けてやる
魔法使いの孤りのさみしさ




