431/501
よる遊ぶ
遠くから
聴こえる声は懐かしい
夕餉を告げる母の鈴の音
身体にも
記憶にも残る悩ましい
腰もくだける蕩かせるキス
振り返る
遠い目をして胸もとに
ちいさな金魚が泳ぐお祭り
傷ましい
わがままと呼ぶ生きるとき
幸せばかりを求める疼きを
よる遊ぶ
不眠の蝶にいざなわれ
からの心を濡らす新月
ためらった
傷が消えずに残るのは
憎んで別れた恋ににている
ふと香る
夢で君を探したあと
恥ずかしいやら泣きたくなるやら
雨音は
きっと翼を広げ飛ぶ
君を夢みる深夜聴こえる




