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風塵《57577Ver.》
凍てついた
川を流れて天使のぬけがら
荒野の街の夕間暮れ
ぬけがらを
横目に睨んで、走り去り、
僕は駆け足、坂、登りきる
堅かった
かつての君とのあの約束の、
荒野の丘の公園に立つ
君は来ず、
吹く風にも似た掠れ声
悲風、吹き抜く、心に聴こえる
そうなのか?
睨んだ天使の肉体が
奪い尽くされ、空っぽの君?
丘の上、
公園の樹々の枝揺らす
冷たい悲風、吹き止まずにいる
ただ、悲風、
茫々たるこの荒野の街へ
吹きおろす、風、吹き止まず、風
砂塵舞い、
挑む心もすでになく、
それでもこの街すてずに、ただ、いる
たとえれば
風塵のなか、目を伏せて、
君なきひとりに、身をよじりつつ………