テスト
テスト投稿
「おい、もうそろそろ切り上げないか」
男は言った。
「明日のテストは数学と英語だ。勉強しなくちゃいかんでしょう」
友人は手を動かすのをやめなかった。焦りが募っているのが傍目で見てもよくわかるように、じっとりと額に汗を這わせている。
男は溜息を漏らして本の山を流し見た。
「テストが怖いのはわかるが、こんなことをしていたら明日の朝起きることすらできなくなるぞ」
時計を見ると、針は既に午前3時へ差し掛かろうとするところだった。
「なあ、もうやめよう」
友人の眼は今にも閉じてしまいそうに、ピクリピクリと震えている。
「そんな状態でテストを受けたら本当に単位を落とすぞ」
男は本の塊を崩れないように棚の前に置くと、繰り返し友人を窘めた。
「大体テスト前日になってこんな……。おい、聞いてるか?」
友人は手に持った本を床に置くと、ようやく口を開いた。
「わかったよ。もうやめるよ。手伝ってくれてありがとうな、片付け」