夏生詩集3 セミ 作者: 夏生 掲載日:2014/08/11 土の下は きっとやさしくてあたたかくて 地上の話はおとぎ話のようなもので いずれ出なければならないとは 思っていなかったかもしれない 闇に包まれぬくぬくと生きるものだと 心地よく感じながら鼻歌でも歌って いたかもしれない ある時を境に身体が 地上へ向かう準備をはじめて ホンノウに急き立てられて 戸惑ったかもしれない こわかったかもしれない いやだ、いやだ、と泣いたかもしれない あの歌声がしわがれているのは そのせいかもしれない