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  作者: 河村 恵
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記念写真

夜中に怖い夢を見て目を覚ました。


いつもあおむけに寝るはずが、今は丸くなっている。


ますます猫めいてきた自分に気付き愕然とした。


翌日は会社へはいけないな、なんと言って休もう?いや、休んでもどうにもならないなら辞めてしまったほうがすっきり諦めがつく。友人、両親にはどう話そうか。


あぁ、ミャーとしか言えないんだった。手紙を書こうか?はて、字はかけるか?


そうなことをぐるぐる考えているうちに眠ってしまったようだ。



「ジリリージリリ」


けたたましくなる目覚し時計にびっくりして手をのばすが、的外れなところにし

か手が届かない。


バシン


やっとのことで時計をたたきつけると手の短さに驚いた。


「ミーャ」


と伸びをして、恐る恐る蒲団をはがすと、全身猫になっていた。



三毛になるような予感がしていたが、違っていた。


全身グレーの短い毛で覆われ、目は黄色く、足先だけがなぜか白く、靴下を履いてい

るようなしゃれた模様だった。



私は人間の頃から寝起きが悪く、起きてからもしばらくぼーっとて動けない。


いつものようにぼーっとしていたつもりが、腕をぺろぺろとなめていた。


そのとき、舌に刺さった骨が毛づくろいに役立つことに気付いた。意外に気持ちいい。



その時、もうこのまま猫でもいいのではないかと思った。


手始めに、ベットに置いてあった丸っこいキャラクターのぬいぐるみを手で転がしてみた。鏡に映る様子がいかにも猫らしくて愛くるしいことに嬉しくなった。


そのうちに動くものが気になった。


風に揺れるカーテンや観葉植物の葉っぱにじゃれて遊ぶ。


せっかくかわいらしい姿をしているので記念写真を撮ろうと思い立った。


カメラケースをくわえてベットに置いた。


自分撮りできるほど腕が長くないので、鏡に映る姿を撮ろうと角度を調整する。


いざシャッターを切ろうとすると肉球でうまく押せない。キッチンから菜箸を持ってきてポチッと押す。ポーズも何もあったものではない。が、かわいく撮れた。



外から子どもたちの声がする。


通勤通学の時間帯になるとこのマンションの前の道は人通りが増える。


会社の同僚や友人、昔の恋人を思い出し、鏡の自分の姿を見て、うつむいた。


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