雪色の魔女
雪ふらる雪ふられ
私もふらる雪ふらる緑も街も白くして
これは幼かった頃祖母から教えてもらった手鞠歌でした。
その時分はまだその意味するところも知らず無邪気に遊んでいた。
そして現在その意味を知った時 私自身の宿命を呪った。それは私がまだ幼く世間のことも村に伝わる伝説のこともまだ知らぬ時分の話です。それは母が告げた一言から始まった。
「あのね小夜子、驚かないで聞いて」
「うん母さん分かった」
この時 母が話す言葉の意味をまだ私は深く考えもしなかった。後々考えると何ともいえぬ気持ちになってしまう。
だかこれは宿命となぞられた悲運極まりない事だという事だ。
まだ年端のいかぬ私にとって酷だという一語につきないというのに。
「あのね驚かないで聞いて、この村には古いしきたりがあって、男だと雪さきもりに、女だったら雪女にならないといけない掟があるの。ただこれが従わないと、あんたも私たち家族も水になってしまうの。だから辛いだろうけど我慢してね。」
その後、母は、崩れ落ちるように倒れこんでしまった。
私は何もする事も出来ずただ呆然としているだけだった。 その夜の事だった。テーブルには、沢山のご馳走が並べられいかにも誕生日だという様相でした。
しかし家族の者皆口を閉ざしなんだかお通夜のようでした。その夜の事だった。テーブルには、沢山のご馳走が並べられいかにも誕生日だという様相でした。
しかし家族の者皆口を閉ざしなんだかお通夜のようでした。私は何とか元気になってもらおうと思いおどけたが、逆に場をしらけさしてしまった。その後、母が急に立ち上がり
「小夜子来なさい。」と言った。私は少しばかり呆気をとられたが、何というか、母の言うことを聞かなければならない気持ちになっていた。そこは我が家の七不思議の一つ、開かずの間だ。母はそこを眉一つ変えず鈍重な戸を開けたのだった。 私はおっかなびっくりでしたが再三の母の呼びかけに聞かなければならなくなっいた。
「なに母さん。」
「そこに座ってこれを着なさい。」
そこには年季の入っているように見えるフルートと随分前からタンスにしまわれているのかショウノウの匂いがついてくる。白の衣があった。
「これ着るの。花柄のとか無いの。」
「無い。」あまりにも早く否定され渋々白の衣に袖をとうした。