#5
このサポーター制度のおかげで確実に、自死する者が減少した。
人を徹底管理する世界になったからだ。今は超監視社会。個人情報は政府機関によって厳重に保管されているが、裏を返せば日々の何気ない動向まで政府は筒抜けである。プライバシーについて度々問題にはなったが、犯罪率が低下した為国の方針は変わらなかった。
何もかも話せるサポーター支援だって、結局その内容は全て政府に届く。じゃあ悩みを赤裸々に晒すことなんてできないじゃないか……と思うが、そこは少し麻痺してしまっている。好きな人やコンプレックスを言うぐらいは何ら抵抗がない。
優來は高校生になった。賑やかで馬鹿ばかりやっていた中学と違い、新しいクラスは驚くほど寡黙な生徒ばかりだった。右手にスマホ、左手にサポーターの連絡ツール。傍目からすると恐怖を覚えるマルチタスクぶりだ。
画面の向こうで繋がっている者を大事にするのは良いが、目の前にいる者をおざなりにするのは果たしてどうなのか……。
前の席から配られたプリントを後ろに回そうとした時、後ろの生徒が中々端末から顔を上げないので仕方なく声を掛けた。
些細なことなのに、何だかとても疲れた。
『優來、新しいクラスどう?』
『微妙。すごく静か。私もテンション低い方だけど、あれはレベルが違うよ』
高速でキーボード画面を打ちながら、自分の部屋のベッドに横になり、思案する。
陽葵に会いたい。現実がつまらなくなればなるほど、サポーターに依存してしまう。いつしか自分で考えるより選択を陽葵に委ねることが増えた。
やりたいバイト、付き合う人、行きたい大学……もちろんアドバイザーでもありメンターでもあるので相談自体はいくらしても良いと思うのだが、複雑な気持ちだった。
『優來、もうすぐ記念日だね』
大学四年生の夏、陽葵から一件のメッセージが入った。そうだ、ちょうど一ヶ月後が優來と陽葵の大切な日。今年も、九月六日がやってくる。




