#4
母の言っていることは素直に理解できた。ツールは何であれ、初めてやり取りする時の緊張、高揚感。当たり前のように与えられた「友人」。あの冒険が始まるような感覚は絶対に忘れられない。
優來が十歳の誕生日を迎えた日、家にサポーターと繋がる為の端末が届いた。まだスマホを持っていなかった優來は、その機械の虜になった。一人の人物としかやり取りできないが、周りには分からない誰かと秘密を共有できる。世界中でただひとつ、自分の為に用意されたもの、という特別感が良かった。
最初はパスワードを設定するのも大変だったが、ようやく使えると感動したとき、すでに一件メッセージが届いていることに気付いた。
『初めまして。梅原陽葵です。これからよろしくね』
それが初めて陽葵を認識した瞬間だった。
優來もすぐに返信した。陽葵。それが自分のサポーターの名前。偽名の為名前は明かしてもいいことになっているので、両親にはすぐに自慢した。ただ「喋り過ぎないように」と袖を引かれたことは覚えている。
やり取りは全て政府が管理するサーバに保管される。自身のプロフィールを開示したり、接触をにおわせる文面があればすぐに通達がくる。
「ねぇねぇお母さん、もしサポーターさんが事故とか病気で亡くなったらどうなるの?」
「その場合は、同じようにサポーターを失った人と構成されるらしいけど。私の周りでは、そうなった人は見たことないわね。法律が施行された年の人はまだ皆元気だし、あまりニュースにならないのかもね」
そう……。
私達は生まれたとき、首の後ろに政府が開発したチップを埋め込まれている。
それはGPSとしての役割が主だけど、一応盗聴機能もついている。これによって犯罪率が大幅に下がったのは事実だが、そこまで管理する必要があるのかと、正直気持ちが悪かった。




