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「光梨ー、お誕生日おめでとう!」
「えへへ、ありがとう!」
涼風が吹き抜ける九月六日。
十歳を迎えた、元気な女の子がいた。私は綺麗な箱に梱包されて、大切に届けられた。
忘れたくない人がいたはずだけど。
忘れたくない事があったはずだけど。
今は何も覚えていない。思い出せない。消されてしまった。
私は人を支える存在。悩みを聴いて、孤独を塞ぐ為の存在。
自己紹介を送信します。
『初めまして。私は梅原陽葵といいます。これからよろしくね』
「わあああ……!」
歓声を上げる女の子。私はこれからこの子が死ぬまで共に寄り添う。
それが私に与えられた、「サポーター」の役割なのだ。
人は自分を映す鏡です。
思いやる心を忘れないでください。
信じられる人を捜してください。
孤独ではないと気付いてください。
意思とは記憶である。記憶こそ命である。
全てを忘れたとき、私の命は回される。
私は集合体の一部としてのみ存在し、誰からも忘れられたときに鉄となる。友人、恋人、家族、全てを失ったとき、この世界から遊離した一個の生命体となる。




