表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤独の再利用  作者: 七賀ごふん
芰形優來

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/22

# +1



目を覚ますと真っ白な世界で、画面の中から知らない人達を眺めていた。


ここはどこ。

険しい表情で優來を見下ろす男達が、それぞれに意味不明な言葉を交わしている。唯一ひとりだけ日本語を話す男性がいたので、その男に注目した。


何をしようとしてるんだろう。

手が動かない。足も、口も、声も出ない。というか、自分の姿が分からない。まるで眼球だけの生物になってしまったようだ。真っ白な部屋を眺めることしかできない、もどかしい状況に置かれている。

陽葵はどうなった?

夫は。お父さんとお母さんは。

私……私は……。


右方になにかの文字列が見えた。人の名前が表示されている。

その名前はよく知っていた。


「芰形優來さん。残念ですが、貴方は今朝心臓発作で亡くなりました。今意識があるのは、脳と繋がっていたチップのおかげです。この媒体のおかげで、人は亡くなった後もしばらくは自我と記憶を保っていられます。ただ万能ではないので、記憶はもうすぐ消えます。そうなったら、貴方はその自我を、人を支えるサポーターとして活かしていただきたいんです」


人工知能には限界がある。

だからチップに意思を宿させ、サポーターシステムとして導入した。“人として生きていた時の記憶を消去して”、これから生まれてくる人達の為に新たな人格を形成する。


梅原陽葵は独立した自我を持ちかけていた。何度もリセットして使えるようになったが、貴方の存在も今では脅威になってしまった。



何を言ってるのか……理解できないが、口がないので何も言い返すことができない。


記憶は全てチップに移されている。

記憶は命同然だ。亡くなった人達の命は、孤独という病を治す為に再利用されていた。


陽葵は人工知能なんかじゃない。かつては私と同じ、生きている人間だったんだ。だからあんなにも消えることを怖がっていた。


こんな活かし方、狂ってる。人を生かす為に、人であることを奪うなんて。


彼の手が迫ってきた時、「終わる」ということだけが、分かった。

人の世界から解放される代わりに、目に見えない至大な世界に取り込まれる。一個体として、集合体の一部として。私はこれから生きることも死ぬことも叶わず、この純白の地獄に存在し続けなくてはならないのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ