#12
とうとう、優來が端末を見る機会も減っていった。仕事のプロジェクトが忙しくて余裕がないのを言い訳に、家の戸棚に仕舞っていた。その間も陽葵の存在が脳裏にちらつき、何度かは踵を踏み鳴らした。
「優來さんっていつも落ち着いていて、素敵ですね」
ようやく気が合う男性と出逢っても同じだった。同棲して、彼と手を繋いで、身体を繋げている間も、陽葵のことを考えている。肝心の端末は見ないようにしてるくせに、なんて酷いサポーターだろう。
……いや違う。陽葵は私の「サポーター」だけど、私が陽葵の「サポーター」になれたことは一度もなかった。
二年付き合ってプロポーズされた。その人のことは好きだったから、迷うことなく御礼を言った。でも陽葵だったらどうアドバイスしてきただろう……と一々考えてしまう。もしかしたら怒らせてしまうだろうか。するとどうしようもなく胸が痛くて、婚約のことは陽葵には隠しておいた。
「ん……っ」
暗がりの部屋で、後ろから抱き締められる。彼は優來の腰に手を回し、下着の中に手を差し込んできた。
「ねぇ……あなたは、サポーターさんとまだ連絡取り合ってる?」
「何、急に。……まぁ……わりと最近まではね。忙しくなってからは毎日やり取りするのが億劫でさ、こっちから連絡切っちゃったけど」
どうして……自分の周りには、簡単に絆を断ち切る人ばかりなのだろう。
優來は、サポーターとは一生付き合うものだと思っていた。それこそ父や母と同じように、当たり前のように傍にいる存在。でも殆どの認識は違う。
男の指が、優來の胸を優しく撫でる。
震える優來の腰を持ち上げ、後ろから引き寄せようとする青年。ゆっくり、ゆっくり、暗い穴に落ちていく。




