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孤独の再利用  作者: 七賀ごふん
芰形優來

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11/22

#11



陽葵……。


あんな夢を見たせいか尚さら気になってしまう。もしかしたら陽葵もなにか、大きな悩みに直面しているんじゃないか。顔を洗ってすぐ、携帯端末を手に取った。こんな時に限って充電が切れていたので、充電パッドの上に置く。


『優來。私、優來の為に……』


私の為に。……何だろう。

彼女は夢の中で最後になにか言っていたけど、肝心の内容を忘れてしまった。


ようやく端末が充電できた。電源を入れ、いつものスタート画面が表示される。メッセージボックスを見ると、やはり陽葵から数件連絡が入っていた。


おはよう、おやすみ、元気だった? 仕事無理してない?

大体用件がはっきりしている。それは昔から変わらない、いつもの陽葵だ。

「ありがとう、元気だよ」とだけ打ち込んで送った。

一分も経たずに返信が来た。

『良かった~! 優來、もうすぐ記念日だね』

あぁ……。前髪をかき上げ、壁に掛かったカレンダーに目をやる。

この子は、記念日のことを話す時は特に嬉しそうだ。ここ数年はそれしか話題が盛り上がらないからだろうか。


仕事で忙しくなり、素っ気ない態度をとっている自覚があるから特にそう思う。久しぶりに強い罪悪感を覚えた。

彼女はいつも私の悩みを聴いてくれていたのに、私は彼女の悩みについて深く考えることをしなかった。明るく素直な彼女だから、私なんかよりずっと友達が多くて順風満帆な人生を送っているだろう、と心のどこかで決めつけていた。


ごめんね、陽葵。


陽葵はなにか悩んだりしてない?

記念日のことはあえて触れずに送信すると、

『何にも! 強いて言うなら、優來のことが心配かな。私は皆と違って優來がいればいい。優來を守ってあげたい』

皆?

守る?

意味が分からなかったけど、「ありがとう」と打った。「陽葵、大好きだよ」、と。

貴方のその純粋さがたまらなく愛しい。そして時折、無性に怖い。


貴方は何なの。

私のことなんて何も知らないはずなのに、全て知っていると言いたげな文章を送ってくる貴方は。



二十六にもなると、いよいよ周りにサポーターとコンタクトをとっている者を見なくなった。

優來の両親は、やはり結婚を境にやめてしまったらしい。常に共にいる、生涯のパートナーを見つけたのだから、どこか知らない土地にいるサポーターに頼る必要がなくなったのだと言う。

確かに、子どもまで生まれて忙しくなったらのんびり連絡を取り合う暇などない。


大学で再会した眞由とも、最後に連絡を取り合ったのは去年のクリスマスだ。卒業後はちょくちょく会っていたけど、互いのスケジュールが合わないことが増えて段々存在が薄れてしまった。彼女なら今もサポーターと関係を続けていると思うけど、果たしてどうだろう。




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