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孤独の再利用  作者: 七賀ごふん
芰形優來

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1/22

#1



人は自分を映す鏡です。

思いやる心を忘れないでください。

信じられる人を捜してください。

孤独ではないと気付いてください。




願いとは意思である。

意思とは記憶である。記憶こそ、命である。


全てを忘れたとき、私の命は回される。






あなたはひとりじゃない。

あなたは独りじゃない。


きっと今まで一番目にしたフレーズだ。そして、鼓膜に張り付いた言葉。芰形優來ひしがたゆらはスマホによく似た端末を翳し、アドレス帳に一件だけ登録されている名前をタップした。


梅原陽葵うめはらひまり』。


いつ見ても可愛らしい名前だ。顔も、きっと可憐な花のように可愛いと思う。

断言できないのは、一度も会ったことがないからだ。出逢ってからそれなりに経つが、彼女の顔を知らない。親友は、あくまで自分の頭の中で生きている。

もちろんメッセージを送ればすぐに返事がくるので、どこかで元気に暮らしているのだろう。

中学二年生になった優來は陽葵と恋愛の話をすることが増えた。甘酸っぱい青春を共有したい時期でもあり、毎日連絡を取り合う仲だ。


……否、取り合わなくてはならない仲だ。


優來が陽葵を知ったのは今から四年前、十歳のとき。だが顔はおろか、声も聞いたことがない。出身も住所も学校名も、親や兄妹のことも、プロフィールは一切不明。

間違いないのは自分と同じ女で、同じ年齢ということだけ。陽葵はそれ以上のことを優來に教えてはならないし、優來もまた、陽葵に自身のことを教えてはならない決まりがある。電話を含め、一切の接触を禁じられている。

それでも流行りの服やスイーツの話題だけで盛り上がれる為、これまで困ったことはない。二人が出逢ったのは必然で、恐らく死ぬまで共にいる存在だ。絶対的な味方で、唯一無二の理解者。


顔も名前も知らないからこそ、人に言えない悩みや秘密を打ち明けることができる。陽葵は、友人でもあり家族でもある。優來にとっては唯一の心の支えで、もうひとりの自分でもあった。




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