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三十路おばちゃん、誕生日に異世界転移したら即プロポーズされて死後も一緒でした  作者: いぬぬっこ


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8/20

再会とか最悪のタイミングで来るもんやって話

村を出て、どれくらい歩いたやろ。


森を抜け、街道を避け、

「人がいそうでいない場所」を選んで進む旅は、

想像以上に体力をごっそり持っていかれた。


ユリウスは頑張ってた。

ほんまによう頑張ってた。


文句も言わんし、泣き言も言わん。

その代わり、ぎゅっと私の服の裾を掴んで離さへん。


……そらそうや。

昨日まで「家」やったもんが、全部燃えたんやから。


エドウィンは、寡黙やった。


怪我はしてる。

してるけど、本人は「問題ない」の一点張り。


いや問題しかないわ!!!

肩の血、止まってないし!!

歩き方おかしいし!!!


でも、この人がこういう時に無理するの、知ってる。

止めても無駄なやつ。


だから私は言わへん。

言わへん代わりに、横に立つ。


家族って、そういうもんやろ。



数日後。


辿り着いたのは――

アルトゥリア。


……は?


いや待って。


あの?

金印ぶっ壊れて、騒ぎになった、あの街???


「人が多い場所の方が、紛れやすい」


エドウィンの判断は正しい。

正しいけど!!!


フラグ立ちすぎちゃう!?

この街、呪われてへん!?


城壁をくぐった瞬間、

懐かしい匂いが鼻を突いた。


香辛料。

焼き菓子。

人の声。


平和や。


……腹立つくらい、平和や。


「ママ……ここ、前に来たとこ?」


「せやで。

ほら、変な光ってる金印が――」


言いかけて、止まる。


……あ。

もう、ないんやったな。



市場の端。

人通りの少ない広場。


そこで――


見覚えのある背中を、見た。


色褪せたマント。

竪琴。

肩から下げた、古びた革の書物。


「…………」


嘘やろ。


いや待って。


こんな都合よく再登場する??

物語の都合か???


男は、こちらに気づいた瞬間、

静かに目を細めて笑った。


「おや」


やめろその顔。

全部分かってる顔すな。


「無事だったようで、何より」


……は?


「なあアンタ。

もしかしてやけど」


私が一歩前に出るより早く、

エドウィンが、男の前に立った。


剣は抜かない。

でも、完全に戦闘態勢。


空気が、変わる。


男は、ため息をついた。


「……やはり、隠しきれませんか」


そして。


竪琴を下ろし、

マントを外し、

まっすぐエドウィンを見て――


静かに、頭を下げた。


「久しぶりです」


その声は、

語り部のそれじゃなかった。


「元・王国騎士団所属。

あなたの部下でした」


――元・副官。


空気、凍結。


……は?????


ちょ待て待て待て。


「え、上司???

元上司???

語り部って何???」


脳内ツッコミが追いつかん。


エドウィンは、しばらく沈黙したあと、

低く言った。


「……生きていたのか」


「ええ。

あなたが“いなくなった”あとも」


その言葉に、

エドウィンの指が、わずかに震えた。


語り部――いや、元副官は、続ける。


「影の傭兵団は、今も動いています」


来た。

来たでこれ。


「そして――

団長は、あなたを探しています」


ユリウスが、私の服を掴む。


「ママ……」


大丈夫。

大丈夫やけど。


これは。


もう、逃げるだけの旅やない。


私は、深く息を吸って、

心の中で叫んだ。


……あーもう!!!


平穏とか、再建とか、

そんなもん夢やったわ!!!


こうして。


私たちは、

過去と正面から向き合う旅に、

巻き込まれていくことになった。

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