生き残った方が正義とか、誰が決めたん
正直に言う。
地獄や。
比喩ちゃうで。
ほんまに地獄。
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影の傭兵団、
数も質も、想定以上。
「くそっ!」
「下がれ!」
「後ろ見ろ!!」
叫び声が重なって、
誰の声かわからん。
燕の傭兵団も必死やけど、
相手は十数年、
「国を壊すためだけ」に生きてきた連中や。
そら強いわ。
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私は後方支援。
魔術、連続展開。
火。
氷。
風。
詠唱短縮、限界。
「レミ、無理すんな!!」
「今さら言う!?!?」
ほんまそれ。
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その時。
エドウィンと、団長。
二人だけ、
周囲から切り離されたみたいに戦ってた。
剣と剣。
速すぎて、目が追いつかん。
火花が散る。
「……まだ、迷っているのか」
団長の声。
「何をだ」
「国を守れなかったことを」
エドウィン、歯を食いしばる。
「俺は――」
ガンッ!!
一瞬の隙。
団長の剣が、
エドウィンの脇腹を裂いた。
「エドウィン!!」
声、裏返った。
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エドウィン、膝をつく。
血、落ちる。
「……老いたな」
団長、冷たい。
「いや……」
エドウィン、立ち上がろうとする。
けど。
「動くな」
団長の剣、
喉元。
――終わる。
このままやと、
エドウィン、殺される。
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その瞬間。
頭、真っ白。
考える前に、
体が動いた。
「――やめぇぇぇぇぇ!!!!」
禁忌魔法。
使ったら、
戻れへんやつ。
寿命とか、代償とか、
そういう次元ちゃう。
命そのものを燃やす魔法。
師匠の声が脳裏に響く。
『使うな。使った瞬間、お前は帰れん』
知ってる。
でも。
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エドウィンが死ぬ。
それだけは、
絶対、嫌や。
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魔力、暴走。
視界、白。
体、軽い。
「レミ!? 何を――」
エドウィンの声。
間に合った。
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「……悪いな」
団長、目を細める。
「お前の覚悟は、本物だった」
「だから――」
遅い。
魔法、発動。
空間、歪む。
光、爆ぜる。
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団長の体が、
光に飲まれる。
私も。
一緒に。
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最後に見えたのは。
エドウィンの顔。
叫んでる。
でも、音、聞こえへん。
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……ああ。
そっか。
これが、
私の役目やったんやな。




