影の傭兵団の駐屯地
まず結論から言う。
夜の森、怖すぎ。
いやほんま。
静かすぎて逆に不安。
「夜襲って、こんな胃に悪いイベントやったっけ……」
「今さら何言ってる」
エドウィン、真顔。
はい、すみません。
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影の傭兵団の駐屯地は、
山裾の廃砦。
・見張り二人
・交代制
・焚き火三
・馬あり
……情報は完璧。
ありがとう支配人。
金の力、偉大。
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「合図は?」
「梟」
「地味やな」
「夜やからな」
納得しかない。
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先に動いたのは、
元騎士団の人たち。
音、しない。
ほんまにしない。
……こわ。
「プロや……」
「エドウィンも、な」
「やめて、緊張する」
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合図。
ホゥ――。
次の瞬間。
バチッ!!
焚き火が一斉に消えた。
「え、魔術?」
「レミ」
はい私です。
ちょっとした小細工。
炎だけ狙って酸素遮断。
便利やな、異世界魔術。
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「敵襲だ!!」
遅い。
もう遅い。
燕の傭兵団、突入。
剣鳴る。
血飛ぶ。
怒号。
……あーもう、ほんま戦場。
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エドウィンは、
やっぱり強かった。
速い。
正確。
迷いなし。
でも。
影の傭兵団も、
伊達やない。
連携、えぐい。
「チッ……」
エドウィンが舌打ち。
珍しい。
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その時。
「後ろ!!」
私の叫び。
間一髪。
エドウィンが振り返り、
刃を弾く。
相手、仮面。
……あ。
この動き。
「団長直属や」
「当たりやな」
エドウィン、低く言う。
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戦いは短かった。
けど、重かった。
死者も出た。
こっちも、向こうも。
「……生きてるか」
「なんとか」
「指、ある?」
「ある!」
よし。
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廃砦の奥。
地下。
見つけたのは――
地図。
赤い印。
「これ……」
エドウィンが息を呑む。
「本拠だ」
影の傭兵団、
団長の居場所。
ついに、
尻尾を掴んだ。
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でも。
その地図の端。
小さく書かれてた文字。
“次は、あの村”
……うちの村。
焼かれた、あの場所。
「……ふざけんな」
声、震えた。
怒りで。
悔しさで。
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エドウィンが、剣を鞘に戻す。
「行くぞ」
「終わらせる」
静かな声。
でも。
覚悟の音がした。
⸻
こうして。
燕の傭兵団は、
影の傭兵団の本拠へ向かう。
もう、引き返せへん。




