闘技場の裏側
闘技場ってな。
表は、
筋肉!
歓声!
夢と栄光!!
……やけど。
裏はな。
金。
賭け。
血。
めっちゃ生々しい。
⸻
エドウィンが勝ち続けて三日目。
闘技場の支配人――
豪商バルドーから、
直々に呼び出しが来た。
「……呼ばれました」
「うん、罠の匂いしかしない」
即一致。
でも行くしかない。
断ったら、それはそれで消される。
⸻
通された奥の部屋。
広い。
豪華。
趣味悪い金ピカ。
そして中央。
腹の出た老人が、
にこにこ笑って座ってた。
「いやぁ、君がエドウィンか」
「噂以上だ」
……この人、
絶対“人をモノとして見る目”してる。
「単刀直入に言おう」
「君を、闘技場の“看板”にしたい」
ほら来た。
「報酬は倍」
「安全も保証する」
「名前も、名誉も、金も」
全部盛り。
……あかんやつや。
エドウィンは一瞬、黙ったあと、
「条件がある」
って言った。
お?
「家族に、指一本触れさせない」
「裏の仕事には関わらない」
「俺は剣を振るうだけだ」
沈黙。
……あ、終わった?
と思ったら。
「はっはっは!!」
爆笑。
「気に入った!」
え、通った???
「交渉ができる剣士は、長生きする」
……この人、
やっぱり信用できん。
⸻
その時。
「おじいちゃん、また怖い顔してる」
奥から、
ひょこっと出てきた子がおった。
十歳前後。
目がでかい。
落ち着きがない。
「この子は?」
「孫だ」
……はい、フラグ。
絶対この子、
後で巻き込まれるやつや。
名前はリオ。
支配人の孫にして、
闘技場の裏を知りすぎた子。
「ねぇねぇ、剣のおじちゃん!」
「さっきの試合、どうやったらあんなに速く動けるの!?」
……距離感!!!
エドウィン、困惑。
「……訓練だ」
「えー! それだけー!」
……かわいいな、ちくしょう。
⸻
その夜。
私は嫌な予感がして、
一人で闘技場の外を見回ってた。
すると――
裏路地。
黒い外套。
複数。
統一された歩き方。
……はい、来た。
「影の傭兵団」
小声で呟いた瞬間、
背後。
「見ちゃったね」
ぞわっ。
振り向くと、
リオが立ってた。
「……あんた、こんなとこ来たらあかん!」
「でも、知ってる」
「ここ、危ない人たち来てるでしょ?」
……賢い子は、
生きづらい。
「おじいちゃん、狙われてる」
その一言で、
全部繋がった。
闘技場。
金。
エドウィンの強さ。
――影の傭兵団の“資金源”。
「……リオ」
私はしゃがんで、
目線を合わせた。
「ここから先は、大人の戦場や」
「でも、逃げ道は作る」
リオは、
ぎゅっと拳を握った。
「ぼく、役に立つ?」
……ほんま、
なんでこういう子ばっかり。
「なる」
「その代わり――」
「絶対、言うこと聞き」
こくり。
その瞬間。
闘技場のどこかで、
火の手が上がった。
……始まった。
⸻
この街も、
もう“安全”ではない。




