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最強の転移者 〜俺は俺のペースでエンジョイするからお前らの物語に付き合わねーよ〜  作者: 海岸線の夕日


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9/10

9話 異世界で魔石掘りしたらマジで人生変わったんだがw

4日目の朝は、空腹で目が覚めた。暖炉の火は消えているが、まだほのかな温かみが残っている。入り口を塞ぎ、暖炉を作ったことで、この小さな縦穴シェルターには格段の安心感が生まれていた。


「さて、魔石を探そう」


昨日、倒木の近くで見つけたあの魔石は偶然だったのか。もう一度、あの辺りをくまなく探してみる。地面を丹念に調べたが、魔石は無かった。


「はぁ…やっぱりたまたまか」


よし、方針を変えよう。地中へ潜るのだ。土魔法「ディグ」で縦穴を掘り進め、地中を探索する。この魔法は掘ることはできても埋めることはできないので、計画性が求められる。また、何より痛いのは、灯りがないことだ。縦穴は深くなればなる程、暗くなる。懐中電灯でも買っておけば良かった。


日光がよく当たる場所を選び、一辺が約1メートルの正方形の縦穴を掘り始めた。聖剣スキルのおかげで、壁を蹴って上がることも容易い。何も考えずにひたすら下に掘り進めば良い。土魔法で掘り、出てくる石を一つ一つ「サーチ」で鑑定するが、どれもただの石だ。邪魔な石は次々と穴の外へ放り投げた。


深さ約6メートル。地層が変わった。何か、違う感触がある。不思議な感覚に囚われる。


「…来たか?」


胸が高鳴る。手を止め、集中する。


「ディグ!ディグ!ディグ!」


パン、パン、パンと土を消滅させる音が響き、ついに――そこに現れた。


ブラックパールのようだ。完璧な円球、直径は約1センチ。昨日見つけた魔石とほぼ同じ大きさだが、その存在感は別物だった。薄暗い穴底で、微かに妖しい光を宿している。


震える手でそっと拾い上げる。まずはあれだ。鑑定だ!


「…サーチ」


祈るような呟き。


『魔石』


文字が視界に浮かんだ瞬間、全身に電流が走った。


「キタキタキターーッ!!!」


思考より先に身体が動いた。聖剣スキルを全力で発動。地面を蹴り、一気に6メートルの穴から飛び出る。着地と同時に、縦穴シェルターへ全速力で駆け出した。


息も切れ切らぬままシェルターに飛び込み、聖剣スキルを解除。震える指でネットショップの画面を呼び出す。魔石を投入する。


画面が更新される一瞬の時間が、永遠に感じられた。


『換金価格:2,500,000円』


「……ふぇ?」


声にならない声が漏れた。頭が真っ白になった。数字が目に焼き付き、理解を拒絶する。250万。


昨日のは、100円だよ?


しかし、身体は正直だった。トイレを我慢するかのように足を踏み鳴らし、手は無意識に顔を覆う。鼓動が耳元で雷のように轟く。


「あ…ああ…」


ゆっくりと、脳が再起動し始めた。冷たい現実と、熱い興奮が入り混じる。視界がはっきりしてくる。画面の数字は、確かにそこにある。


「250万…」


声に出した瞬間、まるで自分が別人になったみたいだった。


「うっわああああああああああ!!! マジで!? マジで250万!? うそだろ!? うそじゃねえ!!!」


シェルターの中で跳ねる。跳ねまくる。聖剣スキル使ってないのに身体が浮いてる気がする。


「ははっ、ははははははは!!! やったぁぁぁ!!! 俺やったああああ!!!」


両手で顔を覆っては離して、また覆って。笑いと叫びが混ざって変な声になる。涙腺が勝手に緩んで、目尻が熱い。鼻水まで出てきてるかもしれないけど、そんなのどうでもいい。


「250万だよ!? 250万!! 昨日100円だったのに! 100円が! 250万!! 桁が変わった!! 俺の人生桁変わったあああ!!!」


ネットショップの画面を何度も確認する。

消えない。

本当にそこにある。

2,500,000円。


「うおおおおおおお!! これで! これでやっと――!!」


食い物!寝袋!着替!毛布!道具!


もうなんでも買える!


「肉食って! 寝る!! ふかふかの布団で! 朝まで爆睡して! 起きたらまた魔石掘って! また250万掘って!! 俺、無敵じゃね!? 俺いま最強じゃね!?」


シェルターの壁に両手をついて、額をゴンッと押し付ける。冷たい土の感触すら今は気持ちいい。


「……はぁっ……はぁっ……」


息が上がってるのに、顔がにやけっぱなしで止まらない。


「うひゃははははははは!!! 最高!!!いま、俺、この異世界で一番気分いいやつだわ!!!」


両手を天井に向かって突き上げて、

全力で、

心底から、

叫んだ。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!! 生きててよかったああああああああ!!!」


その声は、縦穴シェルターの小さな入り口を抜けて、森の奥まで、少しだけ響いた。





「俺、今日から本気で成り上がるわ」

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