4話 聖剣スキル発動30秒でシューズ終わる
あの赤いキノコは、それっきり二度と姿を見せなかった。
朝から口にしたのは赤いキノコ一つ。もう、お昼は過ぎた頃だろうか。ここで一度、持ち物を整理しよう。
アイテムボックスと唱えるとリストのスクリーンが出現する(最初は何も表示が無かった)。スクリーンに物を入れると収納されるシステムだ。物を出すには、リストの項目をタップするだけ、物が簡単に取り出せる。
アイテムボックスのスクリーンには、収納した物のリストが表示されている。
空き缶(水入)
空き缶(尿入)× 3
空き缶 × 2
割り箸
弁当プラ
ビーフジャーキー袋
ポテチ袋
etc.
細かい要らないと思えるゴミは、赤いキノコを焼いた焚き火で燃やした。
よくよく考えれば、ポテチの袋は使えるな。少量のウォーターなら、受ける事が出来そうだ。袋をウォーターで洗ってと。そして、ウォーターを袋で受けて、空き缶に入れると。おお!なんか出来きた。残念な事に3缶はすでに俺の尿で汚染されて使えない。く、悔やまれる。
……やばい。
金も魔石も無い。
焦りが一気に込み上げてくる。
仕方ない。魔物討伐を決意する。
やるか……。
俺は悪役みたいに舌なめずりして、ニヤリと悪い顔をした。
……って、待て待て。
忘れたのか?
寝袋、紙コップ、調味料……
あの致命的な失敗を。
大事なのは計画性だ。
まずは聖剣スキルの検証からだ。
今、手持ちの戦力で一番安定してるのは間違いなくこれだろう。
魔法は当たらなきゃ意味ないしな。
くっくっく……舐めるなよ、俺を。
過去の失敗から、ちゃんと学んだんだぜ。
俺は意を決して聖剣スキルを発動させた。
瞬間――
五感が研ぎ澄まされ、体中に力が漲っていくのが分かった。
頭は冴えわたり、体は異常に軽い。
こ、これは……凄い!
まるでドラゴンボー○のスーパーサイ○人だ。
……いや、髪は金色にならず逆立たなかったし、炎のオーラも出ていないけど。
試しにパンチとキックを何回も繰り出してみる。
速い。空気を切り裂く音が、漫画の効果音みたいにビュンッ!と響く。
軽くジャンプしただけで、2メートルは軽く飛べた。
もはや剣なんていらないんじゃね?
ってくらいのバケモノパワーだ。
まだレベルも上がってないはずなのに、これは有能すぎるだろ……。
調子に乗って全速力ダッシュ→急停止!
ビリッ!
……え?
なんだこの音?
あまりの速度に、ランニングシューズの両方の底がベロンッと剥がれていた。
「あぁ……俺の大事なNIK○のランニングシューズが……」
へこんだ瞬間、聖剣スキルがパタリと切れた。
あれ? やばい。
頭がクラクラする。
持続時間……30秒くらいか? これが今のMAXなのか。
ここで倒れたら終わりだ。
急いで縦穴シェルターに戻らないと!
よろよろと歩き始めたが、靴の底がベロンベロンで、足がもつれて倒れた。
くそっ……這ってでも戻るしかない。
ハイハイしながらなんとかシェルターまで戻り着いた俺は、そのまま力尽きて眠りに落ちた。
ちなみに着ていた唯一の服であるトレーナーの上下は、土で泥まみれになっていた。
……最初から縦穴の近くで検証すりゃよかったな。計画性とは何だったのか?
異世界の人生とは、
まるで後悔のアミューズメントパークだ。
作品の題名のサブタイトルを変更しました。
最強の転移者 〜俺は1人で生きてゆく〜
↓
最強の転移者 〜危ねぇ!騙されるとこだったぜ。おっさんを舐めんな。逆を行く!!そう、引きこもるんだ〜




