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78 角のないアキュートディア

 どうすればいいかとヒルデと顔を見合わせていると森からリツハルトが出てきた。


「いいぞ、ポチ。そのまま奴らを抑えて、畑の方に行かせないようにしろ」


 リツハルトはアッシュたちの方を見ることもせず、ポチの方に走っていってしまった。リツハルトに続き、ゾインが森から飛び出してくる。


「待ちやがれ、リツハルト!!

 って、あんたら、ここは危ないぞ。すぐに――」


 アッシュたちに言い終わる前にゾインは急に後ろを振り返り、剣を振った。何かが倒れる音がしたのでそちらの方を覗き込むと、角のないアキュートディアが倒れていた。


「ッチ。おい、ザグ、ドンチョ、この人たちを守れ!!

 俺はリツハルトの方に向かう、いいな!!」


 二人を追って来たのだろう、ザグとドンチョも森から出てきた。息も絶え絶えな二人にゾインが指示を出すとリツハルトのもとに走って行ってしまった。


「は、はい。って、アッシュさんたちじゃないッスか」


「何があったんですか」


 荒い呼吸をしながら、アッシュたちの姿を見たザグは目を丸くする。


「それが」


 説明しようとするザグにアキュートディアが頭突きをしようと襲いかかる。アッシュとヒルデはそれぞれの武器に手を伸ばすが、アッシュたちが攻撃する前に、ドンチョが大きな盾で攻撃を受けた。怯んだところをザグが槍で一突きすると動かなくなった。


「大丈夫? 怪我ない?」


 盾を持ったまま、振り返らずにドンチョが心配そうに尋ねる。


「はい。おかげさまで」


「それで? 何でこんなことになってるの」


 周りを見回して、一先ずアキュートディアの姿がないことをザグは確認すると何があったのかをアッシュたちに説明する。



 アッシュたちと別れたあとに話し合ったがリツハルトは頑なに譲らず、結局フールピジョンの討伐をすることになった。フールピジョンは荒らした畑の近くの森に巣を作るらしく、朝早くから森を捜索し、しばらくすると畑を襲ったと思われるフールピジョンたちを見つけた。


 見つけたはいいが、フールピジョンは畑のある方向に飛んでおり、空にいるのでどうすることもできないゾインたちは、魔法が使えるリツハルトが攻撃して、こちらに向かってくるように仕向けるかと相談しているとリツハルトが何を思ったのか、ポチをフールピジョンたちにけしかけた。


 ゾインたちが止めようとするも、すでにポチはフールピジョンに向かって飛んでいた。

 突然、天敵が襲ってきたフールピジョンはパニックになり、先ほどよりも素早く羽ばたき、逃げるように畑の方に飛び、ポチは後を追い、そのポチの後をリツハルトが追いかける。


 あのように行動するリツハルトは自分の興味あることしか目に映らない。以前、同じような行動したときは魔物の巣に突っ込んだことがある。リツハルトに追いついたゾインたちが何とか倒し、身勝手で迂闊な行動をする彼にゾインが説教をしたが、本人は改める気はないらしく、その後も同じようなことが何度もあったらしい。


 この森には凶悪な魔物はいないらしいが、何をしでかすかわからないリツハルトを一人で放ってはおけず、ゾインたちはリツハルトの後を追った。








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