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56 奪われた剣の行方

「は? いや、ちょっと待て!!」


 訳がわからず、呆然としていると、ようやく剣を魔物に取られたのだと理解した。

 慌てて魔物の後を追いかけようとしたが、昨日店員が言っていた言葉を思い出した。


 ――魔物に武器を盗まれて、慌てて追いかけたらモンスターハウスに誘導されて死にかけたからも二度と行くもんかって言ってたかな


 モンスターハウスとは狭い空間に閉じ込められ、そこに魔物が次々と現れるトラップだ。

 現れる全ての魔物を倒しきらなければそこから脱出することができないということが多い。

 たとえ、弱い魔物であっても数が多ければアッシュでも苦戦するし、何より全て倒して脱出するまで時間が掛かってしまい、剣を奪った魔物の姿を見失ってしまうだろう。

 どうすればいいのかわからず、立ち止まって頭を乱暴に掻きむしる。


「あの武器を盗む魔物なら、ここの最下層に出るらしいよ。

 何でも盗んだ武器を使って冒険者を攻撃してくるんだって。だから、あの剣を取り返すならそこに行けばいいよ」


 いつの間にか側に来ていたヒルデはアッシュを見上げながら言った。


「なんで、そんなことを知ってるんだ?」


 頬に人差し指を当て、上目遣いで小首を傾げながらアッシュを見つめ、ヒルデは答えた。


「なんでって、僕、聞いたから。実際にこのダンジョンに行ったっていうおじさんから」


「お、おじさん?」


 ヒルデが言うにはダンジョンがどこにあるか、わからなかったので、色々な人に聞いてまわっていると、元冒険者を名乗る男からこのダンジョンのことを聞いたらしい。

 彼はダンジョンに入った際に今と同じように自分の武器を盗まれ、なんとか後を追いかけると最下層の五階に来てしまったらしい。

 そこには彼から奪った武器を手にしている猿の魔物、シーフモンキーたちがいた。

 シーフモンキー自体はそこまで強くないが、数が多く、自分では倒すことが出来ないと悟った彼は引き返し、運良く生きてダンジョンから脱出することが出来たが、盗られた武器が今でも心残りなのだそうだ。


「で、もし、僕が最下層に行ったら、その武器を取り返してくれってお願いされて、このダンジョンについて教えて貰ったんだ」


 ヒルデはアッシュよりも早くダンジョンの存在を初心者狩りの冒険者から聞き、調べていたのだ。アッシュも依頼やダンジョンに入る前に慎重に調べるのだが、如何せん時間がなかった。


 ヒルデの話が本当なら最下層である五階に向かう必要があるだろう。全五階なら中ボスは出現せず、最下層にダンジョンのボスが出現するだけだろう。あとは外に出るための転移の魔方陣が最下層のその奥にあるだけだ。

 数が多いとのことなので、奪われた剣を持つシーフモンキーだけを倒せばいいということにはならないだろう。

 あの時、呆気に取られていなければと後悔した。







楽しんで頂けたなら幸いです。

よろしければ評価の方もよろしくお願いします。

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