表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/248

51 ファング・テラーベア

 朝になり、宿を出たアッシュはダンジョンについて調べてみたが、誰もが知らないと口々に言い、昨日以上の情報は得ることが出来なかった。


 気がつくともう日は高くなり、もうすぐ昼だ。初心者狩りの冒険者が隠し場所に行く頃合いだろう。


 人がいないことを確認するとアッシュはブロディに貰ったもう一枚の白紙の紙を取り出す。

 しばらくし、紙が淡く光ったと思うとダンジョンのことは初耳で、調査を部下に頼んだ。冒険者が動き、城門の方に向かっているので今から尾行を開始すると文字が浮かび上がった。


 城門の近くに行き、出入り口を見ると昨日酒場にいた三人組の冒険者が外に出ようとしている所だった。その後をブロディと三人の男が後をつけている。

 尾行なので四人とも騎士の鎧は着用していないが、武器を持ち、胸当てなどの装備をしていることから傍目には冒険者だと思われるだろう。



 ブロディたちも外に出たことを確認するとアッシュも後に続いて外に出る。

 情報通り、初心者狩りの冒険者は森に入った。姿を見失わないように気をつけて歩く。


 運良く魔物に出会うことなく歩いていると洞窟があった。そこから巨大な魔力の流れを感じる。

『黄金のゼーレ』と共に何度も潜ったので知っている。これはダンジョンの入り口だ。


 初心者狩りの冒険者はためらいもなく、中に入っていった。ブロディたちも後に続くのを見て、アッシュも覚悟を決めて入る。


 中に入るとそこは森だった。

 しかし、先ほどまでの森とは違い、纏わり付くような魔力を感じる。もしもの時のために仮面を取り出し、着ける。

 ただ爆竹を鳴らすだけならば、いらないと思っていたが、ここはダンジョンだ。何が起こってもおかしくはない。



 しばらく歩くと、圧倒されるほどに大きな木が見え、初心者狩りの冒険者たちはそこで立ち止まった。どうやら、その木の側に奪った装備を隠しているようだ。

 爆竹を用意しようとしていたとき、何者かの気配を感じた。

 周りを見渡すが姿は見えない。何者かの気配をアッシュが警戒し、ブロディたちから目を離した時だった。

 大きな叫び声と戦闘をする音が聞こえてくる。音のする方に目を向けると冒険者の一人が地面に倒れ、ブロディたち騎士が大きなクマの魔物、ファング・テラーベアと戦っていた。

 アッシュはすぐにブロディたちのもとに走る。



 ファング・テラーベアは、自分の縄張りに近づくものを容赦なく襲う凶暴な魔物だ。

 その鋭い爪や牙に襲われれば一溜まりもないと言われている。

 また、縄張りに侵入した者を執拗に追いかけ、攻撃することが知られている。

 おそらく、あの大きな木の周辺を縄張りとしており、冒険者は前々から目をつけられていたのだろう。


 ブロディたちが恐怖でへたり込んだ冒険者を守りながら戦っているが、ファング・テラーベアの膂力は凄まじく、次第に押されていた。

 騎士が爪による攻撃を剣で受けようとするが、剣が弾かれ、無防備になり、そこにファング・テラーベアの爪が迫る。

 間一髪のところで駆けつけたアッシュが刀で攻撃を受け、騎士をかばった。


 突然、アッシュが現れたことでファング・テラーベアは警戒して、後ろに下がり、距離を取る。


「あ、あなたは?」


 アッシュにかばわれた騎士が問いかけるが、それに答える余裕はない。攻撃を一回受けただけだが、ファング・テラーベアの攻撃は重く、鋭いことがわかる。

 ここにいる騎士ではおそらく、勝てない。冒険者をかばいながら戦うのなら、なおさらだ。


「そこに倒れている冒険者を連れて、早く逃げろ!!」


 再び襲いかかるファング・テラーベアの爪をいなすことで攻撃を逸らすが、間を置かず、もう一方の腕がアッシュに振り下ろされる。アッシュは攻撃を受け止めず、後ろに飛ぶことで回避する。攻撃を躱されたことでファング・テラーベアはアッシュを睨み付ける。

 どうやら、彼も敵だと認定されたらしい。







楽しんで頂けたなら幸いです。

よろしければ評価の方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ