表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/145

39 頼み事

 すぐに呆れて、見放すだろうと考えていたが、アメリアはアッシュが強くなるまで待つと言って一向に手放す気配がない。

 そのうちミント、マリーナをミミーの勧めで、パーティーに迎え、ますます手放してくれなくなった。


 そして、何故がミント、マリーナの二人にまで好意を持たれるようになった。

 このことにアメリアは悋気を抱くのではないかと怯えたが、彼女は初めて友達が出来たことで舞い上がり、どうやら三人でアッシュを共有すると決めたらしい。


 そうなれば、アメリアの手前、二人の好意を拒否することもできない。

 拒否しようものならアメリアが何をしてくるか、わからないからだ。


 アッシュとしては彼女たちのことを仲間としては好ましく思うが、それが恋愛感情によるものなのかと聞かれても首を横に振るだろう。

 下手に、期待させてしまうのも彼女たちに申し訳ないので仲間としての接触以上のことはアッシュからは決してしなかった。


 しかし、好意を示さないのに嬉しそうな顔をして、誰に何を言われても自分を見放さない彼女たちの姿にどうすればいいのかと悩んでいたときだ。

 キースがパーティーに加入したのは。



 キースが加入してきてから、アメリアたちはすぐに心変わりをした。


 キースは剣の腕も確かで、人当たりも良く、戦闘においても常に冷静で、判断力もあり、リーダーシップもある。

 彼女たちに守られるだけのアッシュにも蔑むことなく接してくれる。

 そんなキースに優しくされれば好きになるのも当たり前だ。


 しかし、心変わりしたにも関わらず、アメリアはアッシュを手放そうとしない。

 どうやら、恋情はないが、アッシュはいて当たり前という考えのようだ。

 このまま、脱退すると言っても納得しないだろう。納得しなければ、アッシュのことを追いかけてくるかもしれない。彼にとってそれが一番怖かった。


 しかし、キースに決めるように言われてようやくアッシュを手放すことに決めたらしい。

 彼女自身が手放すと決めたのだ。覆すことはないだろう。



 キースは素直に受け取ってくれなかったが、感謝の言葉はアッシュの心からのものだった。

 最後のキースの態度は少し驚いたが、彼の太刀筋を見れば、悪い人でないことがわかる。

 彼にアメリアたちのことをまかせるのに申し訳ない気はあったが、彼ならば悪いようにしないだろうと感じた。



 先ほどまで申し訳ない顔をしていたジョージだが、今はにやにやしてアッシュを見てくる。


「それにしても、俺はついてるな。こんなタイミング良くアッシュがソロに戻るとは」


 もみ手をしながら、ジョージはこちらの顔色をうかがうようにしている。

 こんなときは決まってろくでもないことを頼まれると決まっている。


「何か、俺に頼み事ですか?」


 顔をしかめ、嫌そうな顔をして聞く。

 そんな顔をすれば失礼なことはわかっているが、ジョージは何も気にしないので今更だ。


「おう、じゃあ、頼まれてくれるな。A級冒険者、ブランクとして」







楽しんで頂けたなら幸いです。

よろしければ評価の方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ