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250 彼らと似たような

「何とかいけそうだな」


 クズハのサポートもあり、倒せないながらも上手くムカデの気を逸らせているようだ。あれならば、少しの間二人でも持つだろう。安心したアッシュは肩で暴れるアオイを担いで氷の塊まで急いで向かった。


「おい、俺は大丈夫だ。下ろせ!!」


 毒を受けて辛いはずなのに強がるように背を叩く彼を無視してアッシュは走った。敵と距離があり、万が一毒の針による攻撃をしてきてもここならば安全だろう。


「アオイさん、下ろしますよ」


 声を掛けてゆっくりとアオイを地面に座らせる。彼をうつむいていた顔を上げてアッシュを睨んだ。


「大丈夫だと言っただろう。余計なことを」


 文句を言いながら立ち上がろうと地面に手を突くが、足に力が入らないようで彼はすぐにへたり込んでしまった。


「…クソ」


 悔しそうに顔を歪ませるアオイにアッシュは毒消しのポーションを手に取り使用した。

 すると眉間にシワを寄せていた彼の表情が少し落ち着いて来た。効くのか不安だったが、どうやら効果があったようだ。


「ここなら攻撃も防げると思うのでしばらく休んでいてください」


「待て」


 戦っているヒルデたちのもとに向かおうとするアッシュをアオイが呼び止めた。振り返るとこちらを睨み付けるような目でアッシュを見ていた。


「アイツは何度頭を潰され、体を斬り裂かれたとしても蘇るぞ。勝算はあるのか」


 復活した姿を見た時からそんな予感がしていたが、やはりそうなのだ。アオイもそう思っていたからこそ勝負を急いでいたのだろう。

 彼の問いかけにアッシュは暫し考えていると不意に『黄金のゼーレ』で交わした会話を思い出した。


「回復が間に合わなくなるまで攻撃し続ければいいんじゃないでしょうか」


『黄金のゼーレ』にいた頃、いくら傷つけたとしても再生し続けて襲って来る魔物がいるのだとアッシュは初めて知った。そんなのと遭遇した時はどうすればいいのかと興味本位で聞いてみたことがあったのだが、カイン以外の全員が同じ答えだった。


『相手が回復できなくなるまで攻撃すればいいだろう』と。


 さも当然だとでもいうような顔をして言うものだからカインと二人でそんなこと出来るのは彼らぐらいだろうと苦笑いしたのを覚えている。


 その時の彼らと同じような言葉がつい口を突いて出てしまったことにアオイだけではなく、アッシュ本人も目を丸くしていた。


「自分が言うたことやろ。なに驚いてんねん」


「本当ですね」


 とんでもない考えだなとあの時は思っていたのにいざそういう敵に遭遇したら彼らと似たようなことを言ってしまった。他に何か手があるのかもしれないが、今考えられるのはこれしかない。


「倒せるかはわかりませんが、やってみます。アオイさんはここで休んでいてください」


 アッシュはアオイに声を掛けるとムカデの相手をしているヒルデたちの方へと走って行った。




「堅すぎぃ」


 文句を言いながらもヒルデが戦斧を振ると刃がムカデの体に食い込む。最初の頃は弾かれたことで面食らったが何度か攻撃することよりコツが掴めてきた。

 だが、傷ついてもすぐに回復するために敵にダメージを与えているという感覚がない。


 戦斧を戻そうとするが傷ついた部分を再生しようとする触手に巻き込まれて上手くいかない。もたもたしていると敵がこちらを見ていることに気が付いた。クズハが気を引こうと火の玉を放つが、効かないとわかったからか敵は意に介さずヒルデに突進して来る。


「やっば!!」


 何とか戦斧を引き抜いた彼女にムカデの鋭い牙が襲い掛かる。素早く構えようとする彼女の前に影が差す。戦斧を振ろうとした手を止めた瞬間、敵の雄叫びが辺りに響くと良く知っている声が耳に入って来た。


「悪い。待たせた」


「遅いよ、アッシュ君」








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