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01 震える手
初めて投稿します。
至らぬこともあるかと思いますが、よろしくお願いします。
「…私は認められたい。英雄としてみんなから認められたいの。
ごめんなさい、アッシュ、だから…」
女性―アメリアは泣くのをこらえているかのような表情で、それ以上何も言えずに言葉を詰まらせ、パーティーの脱退を迫られたアッシュを見つめた。
アッシュもまたアメリアを見つめ返す。彼女と過ごした思い出が次々と蘇り、揺らぎそうになる。
しかし、自分の気持ちは初めから決まっている。
アメリアから目をそらし、震える手でアッシュは脱退手続きの紙に自分の名前を書く。
憤りからの震えではない。ようやく自由になれるのだという歓喜の震えだ。




