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自由になりたい冒険家は世界を見たい  作者: 黒木 森
第一部 プロローグ
1/249

01 震える手

初めて投稿します。


至らぬこともあるかと思いますが、よろしくお願いします。

 

「…私は認められたい。英雄としてみんなから認められたいの。

 ごめんなさい、アッシュ、だから…」


 女性―アメリアは泣くのをこらえているかのような表情で、それ以上何も言えずに言葉を詰まらせ、パーティーの脱退を迫られたアッシュを見つめた。



 アッシュもまたアメリアを見つめ返す。彼女と過ごした思い出が次々と蘇り、揺らぎそうになる。

 しかし、自分の気持ちは初めから決まっている。


 アメリアから目をそらし、震える手でアッシュは脱退手続きの紙に自分の名前を書く。

 憤りからの震えではない。ようやく自由になれるのだという歓喜の震えだ。










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