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第7話 元プロさん、デビューを決める

「──……というわけなんだが」

『YOU、なっちゃいなよ』

「自分事じゃないからって気楽だなおい」


 ちょうど通話繋いだままだったからDMの件をアミアにも話したが、モノマネで適当に返されてしまった。


 いやマジでどうしよう……。


 正直、配信者には興味あったから全然いいし、そのお誘い相手があのSTAR SKYともなれば、それはもうこの上ない幸福だ。


 ただ…………。


「『elle』として、じゃないんだよなぁ……」


 ギギギッと音が鳴るくらい背もたれを倒す。


 どーすっかなぁー……


『までも、マジな話──』


 俺が悩んでいると、プシュッと炭酸ジュースの缶を開ける音とともに、アミアの言葉が聞こえてきた。


『今このバチクソ注目されてる時にデビューするのはいいと思うけどな。Rayとしてでも』

「マジぃ?」

『期待の新人が無双してみ? バズるぞ』

「バズ、る……!?」


 そ、そうか……elle式じゃなくてRay式としてまた流行らせれば、トレンドに入って……!


「やるわ」

『ちょれー』

「あ?」

『ごめん事実すぎてキレられてもなんも怖くないんだわ』


 俺も音を立ててエナドリを開けた。


『それにあのSTAR SKYなんだろ? いろんなゲームに触れればいいさ』

「確かに、FLOW以外もするいい機会か」


 俺はDMに記されたメールアドレスに、「なります」という意を示したメッセージを送った。


「そういやアミアは配信とかしないん?」


 すくに返信が来るわけでも無いので、ふと思った疑問をアミアにぶつける。


『おいおい、今をいつだと思ってるんだ』

「いつって……夏?」

『そうだけどそうじゃねぇ……高校3年生の夏休みだぞ? 配信どころか普通はゲームの大会にも出たりしねーんだよ』

「あぁそっか」

『けっ、これだからゲームできて頭もいいやつは』


 悪態をつかれてしまった。


 そうか……勉強なんて授業聞いてりゃ県模試の順位一桁だからその発想は無かったな……。


 そう考えれば、アミアはよく出てくれたな。感謝感謝。


「あれ、でもアジア大会の本番ってもうちょい先だよな?」

『ん? あぁ、たしか3週間後の8月17日だな』

「お前マジで勉強いいんか?」

『おいおい……俺は気にしちゃ負けだと思ってるぜ!きらっ!』


 きらっ!じゃねーんだよ……まぁでも大会には乗り気だったってことにしておくか。


 しばらく雑談をしながら過ごしていると、FLOWをつけているパソコンからピコンと音がなった。


『え、もう返信来たのか?』

「えーっと……あ、STAR SKYだわ」

『はえー……やっぱ期待の新人は手放したくないか』

「えっと、なになに……『ありがとうございます。Ray様のような方から了承をいただき、社員みな嬉しい限りでございます。つきましては、2週間後のデビューをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?』………………は?」

『バカ早くてウケる』


 いや笑い事じゃないんだが?


 え、2週間後のデビュー? 早すぎね?

 VTuberのモデルってそんなすぐにできるんだっけ? いや詳しくないから知らんけどさ。


 あと、こっちにも機材の準備とかいろいろあるわけで──ピコン


『急なお願いとなるので、了承していただけるのなら機材をお送り致します』


「おい囲まれたって。四面楚歌どころか上下合わせて6面囲まれたって」

『もういいじゃん。そこまで手厚くサポートしてくれるなら』


 うーん………………たしかにそれもそうか……。


『あ、そういえばSTAR SKY、2週間後に3期生デビューって言ってたな。それに合わせたいんだろ』

「いやならなおさら駄目だろ! そういうのをこんな直前に変更したら!」


 いや何回も言うけど、別に企業の仕組みとか知らんけどさ!


『あっちがいいって言ってんだ。がんば』

「もうちょっと俺の身になってくれてもいいと思うんだ」

『困ることはないだろ?』

「……それはそうだな。ならええか」


 結局、STAR SKYの提案を引き受けることにした。

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