表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】FLOW〜引退した初代世界1位の元プロは、『無名の新人』として0から世界を獲りに行く〜  作者: もかの
最終章『FLOW世界大会編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/55

第49話 現役世界王者 VS 元世界王者、進歩と再戦の時・後編

 あと3時間後に世界大会DAY2が始まるという時。

 ホテルの俺の部屋にはアミアが訪れていた。


「今日の作戦は昨日話した通り、上位者を序盤に倒しつつ高順位を取ることだ」

「おう」

「だから、BASTARD Qと戦うのは確定事項だ。だが、俺たちが勝てる確証は今のところ()()


 昨日はいろいろ話し合った。

 立ち回りから新技まで。4年前のあの頃よりもたくさんのことを話し合って形にすることができた。

 今大会参加者の過去のデータも大量に見返して、それぞれの特徴はかなり掴めた。


 ……それでも。


 BASTARD Qに勝つビジョンは()()()()()()


 それほどまでにBASTARD Qは強いのだ。

 参加選手の過去データを見てる時も、BASTARD Qは他のプレイヤーとは格が違いすぎた。


 何気ない動作、その1つひとつ全てから『無駄』というのが限界まで──いや、極限まで削ぎ落とされている。

 彼らはそんなプレイングなのだ。


 『ゴリ押し派』の俺たちFILM-0に対し、『精密派』のBASTARD Q。


 同じ世界王者でも全く違うタイプである彼らに勝つビジョンが、浮かぶはずがなかった。


「だが、それでも俺たちは速攻であの2人を倒さなければならない」

「そうだな」

「そこで──3()()()()()を考えた」


 アミアはニヤリと笑う。

 甘い声でそう笑ったにも関わらず、この時だけはめちゃくちゃ男らしく見えた。



 ◇ ◆ ◇



 視界が真っ白に覆われた。


 アミアの考えた作戦の1つ、『必ず有利状況から戦闘を開始する』は、新技連携の『FILM-0式』のおかげで完璧に遂行することができた。


 しかし、まだまだ油断することは出来ない。


 1つの傲慢や油断で戦況が一気にひっくり返される、BASTARD Qはそんな相手なのだから。


 また、実は今のは2つ目の作戦だ。

 1つ目は既に仕事を終えている。


 1つ目の作戦──それは『屋上で戦う』ことだ。


 BASTARD Qとの戦闘において1番重要なのは、エミリア式を使わせないことだ。

 その場合、俺のelle式も使えなくなってしまうが、どうせエミリア式に負けるので些細な問題だ。


 また、再三だが、BASTARD Qはしばらくセントラルに居座る。

 そして俺たちは早急に彼らを倒す必要がある。


 つまり、街中での戦闘は必須。


 街中というのは、複雑な構造をした構造物が多いため、elle式やエミリア式を発動できる場所が多い。


 そんな中、端から端まですべて平坦である屋上は、その可能性が限りなく排除された地形なのだ。


 この場で戦闘を始められた時点で、既に俺たちのシナリオは始まっていたのだ。



 視界を奪われた俺たち4人は、誰一人安易に動かない。

 足音を立てた瞬間、それが命取りになってしまうことを全員が理解しているからだ。


 煙が晴れてから正々堂々戦ってもいいが、それでは俺たちの嫌いな『運』が関わってきてしまう。


 今の内に、行動を起こさないとだな。


 そう思い、俺はグレネードを投げた。

 場所は扉付近。2人が待ち構えていた辺りだ。


『硬直状態から一転、RayがBASTARD Qに向かってグレネードを投げましたね』

『無理やり動かして足音を立てるのが狙いでしょう』

『BASTARD Qとしてもグレネードが飛んでくる音でRayの位置が分かりましたね』


 そこと……そこか。


 BASTARD Qの2人は左右にバラけるようにグレネードから離れた。

 そして数秒後。


 ドオォォォォンッッッ!!!!


 どデカい爆発音が屋上に響き渡る。

 そしてそれと同時に、俺はその音に紛れながら、片方の敵に向かって走り出す。


 速攻で決めるため、アビリティも発動する。


 広大な屋上を2秒ほどで駆け抜け、一瞬で距離を詰める。

 だが敵も──キャラからしてカナルだろう──僅かな音を聞き取り、俺に反応した。


 ここまで近づけば、スモークがあろうともかなり見える。

 つまり、己の力だけのぶつかり合いだ。


 ダダダダダダダダダダッッッ!!!


 俺は総マガジンの半分ほどSMGを撃つ。

 だが、カナルは俺の知らない弾避けのキャラコンでかなりの数を避ける。


 しかし、戦闘の開始前に数発当てていたおかげで、シールドを割り切ることが出来た。


 ダンッッ!!!


 俺が撃つのをやめたところで、丁寧にエイムを合わせたカナルがショットガンを撃ってくる。


 だが、俺はその行動をある程度想定していたので、直撃を避けることができた。

 それでも、咄嗟の神判断で微修正してきたカナルに、80ダメージ削られてしまうが。


『Ray! カナルの近距離ショットガンの直撃をここで回避する!!!』

『アビリティも生かしたエグいキャラコンだ……』

『80ダメージ当てたカナルも相当ですが、このダメージトレードはかなりデカいですよ……!』


 俺は繊細な操作とキャラコンでカナルの背後を取り、再び引き金を引く。


 カナルも必死に弾避けをするが、今回は俺の姿が見えていない状態。つまり──直感である。


 先程まで当てやすいこの状況で俺は残りの弾を全部撃ち切り──2丁目を構えた。


『そ、そうだ……! RayはSMG2丁持ち……!』

『これはカナル、流石に耐えきれないか……!』


 弾避けの複雑なキャラコンをしつつ180度振り返るというのは無理な話。


 カナルのキャラコンを気合いで封じ込めた俺は、残りのHPを削りきった。


 ダンッッ!!!


 その瞬間、銃声が鳴り響き、俺のシールドがすべて割られた。

 ミュンヘンによる、追撃だった。


『おおっと!! ミュンヘンの神カバー!! RayはどちらのSMGも使うことが出来ない……!』

『すごい……これでもまだ諦めることなど無いということか!!』


 正直ここまで完璧なカバーが入ることは想定していなかった。


 ──だが、()()()()()()


『あ、スモークが晴れる……!』

『そうか、扉付近は早い段階で焚いていたから』

『あ──っ!!』


 俺はこちらに向かって走る敵──の後ろにいるアミアを見る。


 正確には──スナイパーを構えたアミアを、である。


「──すまんな。アミアは最初からこれを狙ってたんだ」


 ────ドンッッッ!!!!!


 落ち着いてエイムを合わせたアミアのスナイパーは、ミュンヘンの胴を完璧に捉え、一撃でシールドを破壊した。


 そしてアミアの追撃によって、ミュンヘンも散っていった。


『ふ、FILM-0、BASTARD Qへのリベンジ成功だあああ!!!』

『これはエグい……!!! アツすぎる!!』




 ──いつだったか、こんな話をしたのを覚えてないだろうか。



『FLOWのようなFPSゲームは、実力がalmostである』


『しかしそれは、"almost"であって"all"ではない』


『稀にFPSゲームは、実力が9割のゲームから運が9割のゲームに早変わりする』



 という話を。


 実は──この話には続きがある。


 この話にはまだ、才能と努力という名のフィジカルと様々な運であるラックしか登場していない。


 しかし、ここに『常人離れした頭脳』という知恵が入った途端、運という要素はほぼ打ち消され──




 "almost"が"all"となることがあるのだ、と。




 ──宿敵に勝利を収めた俺たちはその勢いのままDAY2第1試合を走り抜け──見事チャンピオンに輝いた。


 そして、その勢いは2試合目も落ちることなく、2試合連続チャンピオンとなった。


 これによりポイント差は一気に縮まった。



 FLOW世界大会順位表(第6試合開始直前時点)


 1位……キノコ組

 大会ポイント121


 2位……FILM-0

 大会ポイント119


 3位……BASTARD Q

 大会ポイント113


 ︙



 第5回FLOW世界大会は超接戦状態となったまま、運命のラストマッチ──第6試合が幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ