-シュークリームの紛失-
まぁちゃんはたまに家の近くのスーパーとホームセンターの間にあるガチャガチャを引かせてもらっていた。そこで出てきた今でいうスクイーズで中にイチゴが挟まったシュークリームの形のものを初めて天満屋で買ってもらったポシェットにつけていた。特段気に入ったわけではなかったが、あることが当たり前と思って歩いていた。
しかしいつも住んでいるところから家族で繁華街にでて歩いているとシュークリームがない。どこかで落としたみたいだ。スクイーズなのでカランコロンと音がするわけでもなく、どこに落ちているのか全く見当もつかない。まぁちゃんは楽しいお出かけから一変、不安でいっぱいになった。まぁちゃんはいつも一緒にお家を出て、一緒にお家に帰っていた、お家で一緒に寝ていたはずのシュークリームが人でまぜこぜの繁華街で、どんな辛い思いをしているのだろうと思うと気が気ではなかった。排水溝の中とかマンホールとか溝に落ちているんじゃないか…あんなに綺麗だったシュークリームが人に踏まれて道の隅で黒くなっていると考えるとまぁちゃんは悲しくて泣いてしまった。
するとおかあさんが、他の日に同じスーパーのガチャガチャで棒付きのアイスと抹茶のソフトクリームのスクイーズを買ってくれた。おそらく1つ無くして悲しんでいるから2つ特別にくれたのだろう。ただ私はスクイーズがなくて悲しんでいたのではなく、シュークリームちゃんがどうなるかの方が気になっていたので、新しいものを買ってくれてもショックが和らぐことはなかった。シュークリームちゃん、あのまま汚れずに誰かに拾われてたらいいな。抹茶ソフトクリームのなんかゴムのような独特の匂いやパキッと真っ青な棒付きアイスももちろんお気に入りになったけど、ストラップをつけるとこんな悲しいことが起こってしまうのでもうそれ以降スクイーズをストラップとしてつけることはなかった。
まぁちゃんの覚書-たいせつなものはかばんにつけない-