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「――っるせぇな! 俺の勝手だろ!」

 それだけ吐き捨てるように言うと、俺は家を飛び出した。

 母親と揉めた。原因は、俺がまだ進路を決めていないこと。――母親は、俺を大学に行かせたくないらしい。金がねぇからな。

 ガキみたいだって思う。一人で被害者ぶって、って。でも、あれはダメ、これはダメって……だったら一体、どこに行けばいいんだよ。

 イライラする。――何もかも破壊して、消えたくなるのはこんな時。逃げているんだってわかるけど、逃げなければやってられない。俺はそんなに、強くない。

 そんなことを考えながら歩いていると、自分のすぐ前まで人が迫っていたことに気づかなかった。

「駿河? 何やってんの、お前」

 ――雪代だった。

 俺の地元だ。どこにいたって関係ねぇだろ。

 自分の頭の少し上で、溜め息が洩れた。

 こいつ、俺より背が高いんだ。俺が一七八だから、一八〇を超えてるんじゃねぇか?――むかつく。

「何かあったのか? 人でも殺しそうな顔してるぞ」

 俺はお前にかまっていられるほど、今は穏やかな気分じゃない。

 そう思って顔を上げると、そこには教師の顔をしていない、雪代がいた。

「愚痴くらい聞くけど? ウチ来るか?」

 そう言われて頷いてしまったのは、その時の俺がどうかしていたからかもしれない。





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