一、つまらねぇ日々
平凡な日々が過ぎていく。
俺は普通に高校に通い、気がつけばもう、三年になっていた。
そろそろ、本格的に進路を決めなければいけない時期だ。もうすぐ三者面談もある。
――だが、俺はまだ進路を決めていない。やりたいことなど見つからない。一体どこに行けばいいのか……。
はっきり言って、勉強をしないから俺の頭はよくない。推薦取れるほどの成績は持っていないし、第一、授業にはちゃんと出ているものの、遅刻が多すぎる。
そんなことをぼんやりと考えていると、いつの間にか近くに来ていた担任に、名前を呼ばれた。
いつ朝のHRが終わったんだ? 珍しく遅刻せずに来ると、頭が働かなくて困る。
「駿河。三者面談の用紙、持って来た?」
やべぇ。忘れてた。
俺はしかたなしに首を横に振る。担任の溜め息が聞こえた。
「締め切り、今日までだぞ。……じゃあ、明日必ず持って来いよ」
それだけ言うと、担任は去って行った。
正直言うと、俺はこの担任があまり好きじゃない。
雪代 恭一というこの担任は、年はまだ三十代前半で、生徒からも人気がある。顔も……まぁ、いいだろう。
俺がヤツを嫌っているのに、特に理由はない。ただ何となく……生理的にイヤなんだ。何か、ヤツには近づきたくない。
それに、俺思うんだ。人がよくて、生徒の話もよく聞いて、責任感も強くて――そんな教師の仮面の裏に、絶対何かあるはずだ、と。
そう思っていた矢先、俺は雪代の裏の顔というやつを偶然にも見かけてしまったんだ。
それは、六月の後半のある日の放課後のことだった。
俺はバイトまでのヒマつぶしに、学校から三駅離れた地元でブラついていた。いつもこの辺りをブラついてはいるが、雪代の姿を見たのは初めてだった。
雪代は、一人ではなかった。
――女と歩いていたんだ。それも、高校生くらいの女と……。
これってまさか、援助交際じゃねぇのか。