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番外編 乙女ゲームの世界をRPG世界と勘違いしている少女の成長記2 ~強くなって強力な魔獣を屠(ほふ)りたい~

番外編 乙女ゲームの世界をRPG世界と勘違いしている少女の成長記2

~強くなって強力な魔獣をほふりたい~



 それからの私は日々訓練にいそしんだ。


 両親からは「ジーナちゃん。もう少し大きくなってからでも訓練はいいんじゃない?あなたはまだ3歳なのよ」と言われたが、元来、脳みそ筋肉な私は一刻も早く実戦を経験したくて、魔法の練習はもちろん、剣の練習にも力を入れた。

 私は才能があったようで、みるみるうちに剣も魔法も上達し、5歳の頃には剣から斬撃を飛ばし、亜空間に収納空間を作ることにも成功した。


 初めて斬撃を飛ばして離れたところを攻撃できるようになった私は、あまりにも楽しくて、ところ構わず斬撃を飛ばして遊んでいたら、たまたま伯爵邸を訪ねてきていた太った商人のおじさんの髪の毛を切り飛ばしていまい、カッパハゲにしてしまったことは秘密である。

 秘密と言っても、速攻でバレてしこたま怒られたのだが……


 何にしても、私がこれほど剣や魔法に習熟できたのは、両親のおかげであると断言できる。

 剣の達人のお父様、魔法のスペシャリストのお母様、そして、戦いに関する教師には事欠かない魔獣辺境伯の領内……

 その分、貴族のマナーなどの教育をしてくれる人は少ないのだが、私は気にしない……

 何せメイドや庭師に至るまで週に一度の魔獣討伐競争の日には率先してこれに参加し、討伐した魔獣の素材をお小遣いにするような地域柄なのだ。


 私は日々訓練する傍ら、四歳で身体強化を魔力で成功させてからはこっそり屋敷を抜け出し、魔獣の森の周辺で弱い魔物を討伐し、経験値や魔石を収集した。

 ここがRPGの世界なら、経験値は少しでも多く獲得したいし、できるだけ早くから資金源も集めておきたい。

 ちなみに私の協力者は庭師のジガン爺さんである。

 ジガン爺さんは若い頃は有名な冒険者だったそうだ。

 よく、引退した前伯爵の祖父に頼まれて一緒に魔物討伐をした仲だという。

 そしてジガン爺さんが五十歳をいくつか超えたときに、かなり深くまで入り込んだ魔獣の森で強力な魔物と遭遇し、何とか討伐できたのだが祖父をかばって左足をぱっくり食いちぎられたという。


 不思議効果の回復薬や治癒魔法で一命を取り留めたが、欠損した足を元に戻すほどの回復魔法を使える人材は国中を探しても見つからなかったらしい。


 その結果、責任を感じた祖父が自らの屋敷に庭師として雇い入れたのだが、実はジガン爺さん、義足となった今でもかなり強い。

 正直言って領兵の100人隊長クラスには余裕で勝ちそうなのだ。

 しかし、移動は大変なようで、週1の魔獣討伐でも、森の奥までは行かないと言うことだった。何でも身体強化すると義足の左足だけ強化できず、バランスが取りづらいのが一番の原因らしい。


 そんなジガン爺さんが、庭で棒きれを振り回して剣の稽古をしていた4歳の私に目をつけた。

 何でも独特の剣筋だが4歳とは思えないくらい洗練されており、鍛えれば伸びると直感したそうだ。前世でたしなんだ剣道が役にたった。

 ジガン爺さんは今は六十歳を超えているが、さすがに現役で魔獣を討伐しているだけあって動きに切れがある。

 従来教え魔だったジガン爺さんはそれはもう熱心に私を指導してくれた。

 実戦を経験したいと言えば、喜んで家族に内緒で森の近くまで連れ出してくれ、自ら手本を見せながら大きなスライムの倒し方や、赤頭のゴブリンの動きの癖などを教えてくれ、どう隙を突けばよいかを実戦で叩き込んでくれたのだ。


 結果、私は経験値が稼げ、取れた素材はジガン爺さんが商人に売ってくれ、代金は山分けした。

 魔石は私が成長して討伐の旅に出たときに、貴重な魔力補充用のアイテムに加工できると言うことで取っておくことにした。

 魔石の隠し場所には悩んだが、私のベッドのマットレスの隙間に決まった。



 亜空間魔法を覚えたのは、この隠していた魔石がベッドの隙間からあふれるほどの量となり、どこに隠すか悩んでいたときに、魔法の指導者でもあるお母様がたまたま亜空間収納魔法を使っている場面を目撃し、だだをこねて教えてもらったからだ。



 ある意味、恵まれた環境で兄弟たちと切磋琢磨したことで、11歳の頃には魔獣の討伐に普通に参加する元気な少女へと成長した。










次話は本日19時に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 普通なら末娘として甘やかされるのが中身脳筋の為武闘派少女になってしまいました。
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