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第10話 さあ、事務所にかち込みだ

【誤字報告のお願い】

本話以降、『血ぬれ』と表現している箇所が出てきますが、これは誤字ではありません。

複数の方から『血塗ちまみれ』『血まみれ』という誤字報告がありましたが、作品の雰囲気から『血ぬれ』を選択しています。ちなみに『血ぬれ』『血塗ちぬれ』も日本語表記の正しい表現の一つとして認められているのでよろしくお願いします。

第10話 さあ、事務所にかち込みだ


 あらかたかたづけてタムと合流するとタムは既に尋問を終えていた。

「タム、あなた手加減だけじゃなくて尋問も上手なのね」

「いえ、素直に言わないと奥様をけしかけると言ったらペラペラしゃべってくれましたよ」

 なんか私の扱いに疑問を感じる。

 今は時間が惜しいので、捕縛した下っ端に案内させて敵の本拠地へ向かう。





 暗い町の中を捕縛した男の案内でワルインダー組へ向かう。

 本当は身体強化して走り、時間を短縮したいのだが、私は場所を知らないし、捕縛した男もタムも身体強化は使えない。

 折衷案で、私が二人を両肩に担ぎ走ることを提案したが、タムに全力で拒否されてしまった。なぜだ。兵は拙速を尊ぶのでは……


 まあ、普通に歩いてもたいした距離ではなかったようですぐに目的地へ着いた。

 いかにもそうであろうというような分厚いレンガ塀が人の背丈の2倍ほどまで積み上げられた屋敷である。


「あの、ここがうちの組の本部でございます。

 それで、あっしはこれで失礼したいのですが」

 両手を縛られ腰紐状態で案内してきた男が涙目で訴える。


「そんな訳には行かないのは分かるでしょ。

 あなたには必ず今までの報いを受けてもらいます。

 しかし、ここでの働きがそれなりなら、その分罪は軽くしてあげますよ?」

「なぜ疑問形なのでしょう……」

 私の返答に男は悲しそうに呟く。

 でも、仕方ないじゃないの。私はこの町の無法者を取り締まるべき本来の役目を持った人間ではないし、裁く権利も本来それなりの人がもっている。

 私に出来るのは侯爵家の夫人として、判断を下す人にお願いするだけで、最終決定権はない。

 まあ、この男に言ってもわからないだろうから言わないけど……


 外塀を正面からくぐり、建物のエントランス入り口らしき丈夫そうな扉の前に立つ。

「さあ、扉を開けさせなさい」

 私は男に命令する。


 しぶる男の顔面左に、シャドーのストレートをお見舞いする。

『ボッ』と空気を切り裂く音がし、「ひっ」と男が悲鳴を上げかける。

「早く!」

「わ、わかりやした。

 兄貴、帰って来やした。あっしです。グダズです。 

 開けて下せえ」


「おうグダズか早かったな。

 他の奴はどうした」

 ガチャリと鍵の開く音がし、中から屈強そうな男が現れる。


「ん、グダズ、おめえ縛られているのか?

 それにそっちの女は何だ」

 ドアを開けた男に私は問答無用で左アッパーを叩き込む。

 男の頭は破裂し、夜空に真っ赤な花火が上がる。


「ちっ、見かけ倒しだわ。

 手加減したのに死んじゃうなんて、あんたの頑丈そうな肉体は偽物なの?」

 私は首なし死体となった男に文句を言う。

 最前列にいた案内係の男は、死んだ見張り番の返り血を浴びて真っ赤になり、ガタガタ震えている。

 首無し死体がゆっくりと開いたドアの内側に倒れ込んだ。


「さあ、黒幕の部屋まで案内しなさい」

 血ぬれとなった下っ端男に案内させ中に入ると、もう一人見張りがいた。







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