スキルが発現した日
こいつ何言ってんだ。
俺の前世の名前は西村優斗、魔王の生まれ変わりなわけがない。むしろ平凡な人間の生まれ代わりだよ。
そんなことを思いながら口には出せないもどかしさを感じていた。
すると俺の両親が代わりに答えていた。
「リリス様、言い伝え通り4月1日コレラッド村に生まれた我ら堕天使族の子、必ずや魔王となり我ら魔族を救うはずです。」
「リリス様、俺の息子なら必ずしも素晴らしい魔族を築き上げるでしょう。」
「わかったわ。この子が15の歳になり魔王の力が発現する時もう一度訪れる。それまで大切に育てるのよ。」
リリスと呼ばれているナイスバディー(おそらくHカップくらい)で肌をいやらしく露出した黒のハイレグを着ているような漆黒の衣装に包まれた彼女。
髪の毛は金色のショートカットで、背中には黒いコウモリのような翼が生えている。
これはきっとそう。サキュバスだ。
エッチなギャルのお姉さん。前世の俺のタイプだ。
なんて思っていると、彼女は俺の方に向いた。
「魔王ルシウス様、転生おめでとうございます。復活を心よりお待ちしておりました。勇者に敗れて17年早急に復活していただきありがとうございます。魔族を、お願いします。」
そう言ったのち、俺の両親に簡単な挨拶をし帰っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして俺は15歳になった。
それまでにこの世界のことを色々と学んだ。
一つ目はスキルについてだ。
この世界では15歳になる歳の4月1日にスキルが与えられるらしい。
魂と身体の両方を加味された状態で、この世の理から与えられるらしい。
二つ目は魔族について。
魔族は17年前、勇者カナタに魔王が敗れたため敗走。
今はこの魔族領辺境の町、コレラッドに魔族の多くが集まり影を潜めながら暮らしている。
そして今日が4月1日、俺のスキルが目覚める日だ。
<<スキルが与えられました。>>
おお、さっそく。こんな感じにスキルって与えられるのか。
世界の理からのメッセージが頭に響く。
どれどれ、俺のスキルは一体。
<<レアスキル:道化師(clown)を取得。道化師は偽りの仮面を被ることができます。>>
「は???なんだそれ。」
魔王様と言われ15年育てられてきたが、やっぱり前世が人間の俺は魔王の転生者じゃなかったんだな。
いや、ちょっと待て。これがバレたら俺は殺されないか?
「どうしよう。やばいよこれ。」
焦っていると、リリスが俺の部屋を訪ねてきた。
「ルシウス様、少しオーラが変わりましたね。スキル:魔王の発現おめでとうございます。しかし、、魔王の覇気が感じられませんが?」
う、、、だって道化師(clown)だもん。そんなのあるわけないじゃん。
でも、こんなこと言えるわけがない。
「あー、今は力を抑えてるんだよ。」
苦笑いしながら答えた。
「そうなんですね。村の皆が魔王様をお待ちしております。広場へ行きましょう。」
リリスに連れられて村の広場に行くと俺の両親だけでなく、村のオーガの村長を筆頭に両親と村の連中200人程集まっていた。
昔は3mの巨体が褐色の肌の拳で人族を殴り殺していたため、鉄拳のルージスとよばれていたらしい村長も、今や1m50cmの俺とそこまで変わらないよぼよぼの老人になっている。。
「ルシウス様、魔王の発言おめでとうございます。私どもは心よりこの日をお待ちしておりました。それでは魔王様のお力、我らにお見せいただけないでしょうか」
そんなに期待されると困るんだけどな。どうしよう。
「魔王様、力を抑えなくて良いのですよ。」
リリスから追い打ちをかけられる。
全員から期待の眼差し。
もしかしてこれ、俺が追放や殺されるだけでなく、両親にも被害がいく?
絶対絶命の時、世界の理から頭にメッセージが届く。
<<道化師(clown)の条件を達成しました。「魔族10人から魔族と認められる」を達成。道化師からウルトラスキル 「仮面:魔族使い成る者」を獲得。魔族使い成る者の能力は、自身の魔力より弱い魔族を数名操ることができます。>>
<<道化師(clown)の条件を達成しました。「魔族100人以上から魔王と認められる」を達成。道化師からアルティメットスキル「仮面:魔王成る者」を獲得。魔王成る者の能力は、アルティメットスキル:魔王と同様の力を発現することができます。>>
お?このスキルを使えば、この場をやり過ごせる?
とりあえず使っとこう。
頭の中でアルティメットスキル「仮面:魔王成る者」を発動させた。