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Ephemeral note~夢を見る世界  作者: 瑞月風花
異世界編

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39/50

魔女の世界


 赤いインコがラルーの肩に止まり、ほほに顔をすり寄せる。

「あら?」

ラルーにしては珍しく苦笑いをした。インコが首を傾げる。

「ありがとう。少し予想がはずれてしまって、……」

おそらく、ここに連れてきたかったのだとは思う。しかし、ワカバの不器用さを考えれば、ここは無理かもしれないとまでは思っていた。それでも、せいぜいトーラとつながりを持つ教会内。だから、ルディにも教会内の見回りは欠かさないでと伝えていたのだ。しかし、まさか庭に落とされるなんて……。少しだけ、その不運なトーラに同情してしまう。

「インコちゃんはワカバのことをよく知っているのね」 

ラルーに褒められ、インコは僅かに胸を張り「くぉこぅ」と鳴いた。


 ワカバの選ぶ世界は分かっているつもりだった。きっと、全てをやり直すつもりで、大きな賭けとも言える未来を選ぶのだろう。しかし、ワカバもバカではない。みすみすこの世界の記憶を消し去ろうとは思っていないはずだ。だから、あちらの世界を覆う不穏を完全に消し去るために、こちらにワカバを知るあちらのトーラを一時避難させてくるはずだとラルーは睨んでいた。

 いや、そうでなくても、力なきトーラがその時の衝撃に耐えられるとは思えない。あちらの世界を修復するには彼女が必要なのだ。

 あの不穏と立ち向かうにあたれば、あちらのトーラの身の安全が第一になるだのだ。だから、今から20年ほど前にラルーに謝まりにきたワカバはその客人について何も言わなかった。ラルーが反対すると思ったのだろう。

 まずまずの……そこで、ラルーは言葉を変えた。


 まぁ、ワカバにとっては上出来でしょう。


 世界を覆うトーラを紡ぎながら、こちらに客人を飛ばすのだから。そして、やはりワカバはワカバでしかないという答えに行き着いた。

 ラルーの知る限り、トーラに次いで不器用な生き方しかしない『ワカバ』という最強のトーラ。彼女を思うラルーの微笑みは優しいもので、そのままワカバを思い目を伏せた。

 ワカバはああ見えてとても繊細で強硬なのだ。ラルーにとってそれは意外であり、納得出来るものであり、母であるトーラの選択を認めざるを得ない事項でもあるのだが。

 だから、ワカバを選んだのだ。そう思わずにはいられない。たくさんのことを考えて、感じ取って、自分と向き合える。最大の強さは他者を受け入れることが出来るということ。

 そして、自身よりも他人の願いを優先するということ。それなのに、過去に現れるどんなトーラにも一度も負けたことがない最強の魔女。

 そして、思った通りの行動をワカバは取った。ラルーは自分に起きた変化を見つめながら、手に流れる髪色に思い耽った。


 決心したのだろう。


 視線をあげ、ラルーは空を見上げた。

 大きな溜息を零したはずのラルーの表情は自然に零れた微笑みだった。しかし、すぐにその微笑みは消え去った。


 向かうはディアトーラ領主館。

 全くいつまで経っても世話の焼ける子ですこと。もっと自分の気持ちに正直に自分勝手な魔女でもよかったのに。

 立ち上がったラルーの髪は紫の髪色ではなく、黒髪。そして、魔女の象徴であった緑の瞳は漆黒色に戻っていた。

 ルタとなったラルーはこの世界を繋ぐための行動を起こそうと、最後の企てを進める。


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― 新着の感想 ―
[一言] 新年あけましておめでとうございます。 重ねて、年明けと同時に新章の開幕おめでとうございます。 このラルーというキャラも読み手からすれば謎の多い人物で、いつもその思惑を読み解くのに苦労させら…
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