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第二十二話 頭の中がおっぱいでいっぱい

 巨大人工浮島(メガフロート)の保養地は、砂浜に面した小高い丘にあった。なだらかな丘の斜面に似たようなカタチのコテージがズラッと並んでいる。なかなかに面白い光景だ。


 自分たちが宿泊するコテージは、想像していたより遥かに広いコテージだった。二人用の部屋が二つ、三人用の部屋(※1)が二つ、最大で10人が泊まれるそうな。


 部屋分けは、以下の通り。


 二人部屋A:お孫さん師範代

 二人部屋B:私

 三人部屋C:眼鏡”主人公”くん

 三人部屋D:”ヒロイン”ちゃん三人


 ”ヒロイン”ちゃんたち、三人部屋Dにめっちゃ押し込まれてるけど、どこに分けても問題が起きそうだから致し方なし。


 荷物の運び入れなどはみんなに任せ、食料品の詰まった段ボールを抱えてキッチンへ移動する。道中で買った生鮮食品を早く冷蔵庫にしまわないと。暑いからすぐ傷んでしまう。


 わっせわっせと作業をしていると、”ヒロイン”ちゃん三人が、キッチンに隣接したダイニングルームの隅でしゃがみこんでいた。荷物を抱えたまま何やら話している。かと思ったら、ペコペコとお互いに頭を下げている(※2)。


 何してるんだろ? ……まあ、ギスギスした感じじゃないからいっか。


「――えっ、コレ一本しかないのか!?」


 中二病ロリ”ヒロイン”ちゃんの大きな声が聞こえて、なにごとかと顔をあげる。何かあったのかと声をかけると、三人は揃って首を横に振った。


「ぶちょー、声がおっきいよぉ~」


「もっと静かに」


「む、スマヌ……」


 そこからは、声のトーンを落として何やらゴニョゴニョと話し込んでいた。


「――では、約定に則り決を取るぞ! 賛成の者!!」


 中二病ロリ”ヒロイン”ちゃんの掛け声に、スッと三人の手が上がる。


「いちおう聞くが、反対の者!!」


 誰の手も上がらない。何の多数決なのかはサッパリ分からないけど、何かが決まったらしい。みんな満足げに頷いている。仲が良さそうで微笑ましい。


「おーい、海に行くんじゃ無かったのか?」


 ちょうどそこへ、眼鏡”主人公”くんがやって来た。合宿中、勉強ばかりじゃツラかろうということで息抜きもちゃんとある。今日は夕方まで海で遊ぶ予定だそうな。


「ホホーウ、契約者はワレの艶めかしい水着姿をお望みなのか? しからば見るが良い!!」


「いや、おれは予定を確認しただけ、わーっ! ばかっ!!」


 慌てる眼鏡”主人公”くんの目の前で、中二病ロリ”ヒロイン”ちゃんが勢いよく服を脱ぐ。


「あ、ズルい」


「わ、わたしも~!」


 無口クール系”ヒロイン”ちゃんと、おっとり不思議系”ヒロイン”ちゃんも、えいやっと服を脱いだ。みんな、服の下に水着を着こんでいたらしい。気合入ってるなぁ。


 ダイニングルームに水着の”ヒロイン(美少女)”たちが勢ぞろいだ。いや~目の保養。ずずいと詰め寄られ、眼鏡”主人公”くんは真っ赤になっている。でも、目はそらさずに水着姿をバッチリ凝視している。その行動、まさに”主人公”って感じでヨシ!


 四人は、ドタバタしながらダイニングルームから出て行った。水着で走る三人……いや、二人のおっぱいがばるんばるんに揺れていた。


 ちらりと、眼鏡”主人公”くんが申し訳なさそうな顔でこちらを見る。気にしないでいいと、笑って彼を見送った。


 入れ違いでキッチンへやってきたお孫さん師範代。手には、白米や調味料と言った重い食品が入った段ボール箱が抱えられている。師範代と、顔を見合わせて頷き合う。


 ――さて、料理(バイト)のお時間です。


 海で遊ぶ予定は、もちろん息抜きも兼ねている。けれど、最大の目的はメシマズたちをキッチンから遠ざけるためだ。


 お孫さん師範代は、ご飯を炊けるそうなので白米の準備をお任せする。私は、野菜とお肉をザクザク切っていく。玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、とり肉! 今日の晩ご飯はカレー!!


「炊飯器のタイマーをセットした」


「はい、お疲れさまです」


 いったん自分の部屋に引き上げるというお孫さん師範代の背中を見送る。


「まずは玉ねぎをフライパンに、っと」


 カレーは家でもよく作るから、レシピを見ながらじゃなくても大丈夫だ。


 玉ねぎを軽く炒めて、じゃがいも、にんじん、とり肉を順番に入れていく。玉ねぎがしんなりしてきたら、お水を加える。アクを取りつつ、具材が柔らかくなるまで煮込む。


 カチ、と火を止める。あとは、鍋のグツグツがおさまってから、カレールウを割り入れ……あれ? カレールウがない??


「さっきスーパーで買ったはずなのに……」


 間違って冷蔵庫に入れてしまったのだろうかと中を見る。見当たらない。きょろきょろと辺りを見回すと、ダイニングルームのテーブルの上、調味料が詰まった箱の横に置いてあった(※3)。


 なるほど、お孫さん師範代が持ってきてくれた方の段ボール箱に入ってたのか。わざわざ出しておいてくれるなんて、親切だなぁ。まあ、声はかけてほしかったけど。


 ルウが溶けたら、もう一度火をつけ、焦げつかないように混ぜながらしばらく煮込む。


「……?」


 なんか一瞬、鍋の中がピンク色に見えたような? いちおうカレーをかき分けて確認したけれど、変なものは見えない。


「気のせいか」


 小皿に少し取り分けて味見する。うん、普通にカレー! ヨシ!! あとは冷ましてから冷蔵庫にしまえば、晩ご飯の準備はおしまいだ。


 ぐいーっと伸びをすると、視界の下半分で自分のおっぱいがゆっさり揺れた。もうスッカリ慣れた重量感。前世の感覚だと”ありえんくらいの巨乳”だけど、今世の感覚だと”普通サイズのおっぱい”だ。


 揺れるおっぱいと言えば、さっきの”ヒロイン”ちゃんたちのおっぱい、ばるんばるんに揺れていた。あれ、前世の感覚だと”痛そう”なのだが、今世の感覚だと”普通”だ。


 このエロゲみたいなことが起きる世界のおっぱい、千切れそうなくらい揺れてても、痛くないんだよねぇ。なんていうか、そもそも肉体の構造が違う気がする。というのも――


 ブラをしてなくても、おっぱいがあんまり垂れないのだ。


 このサイズで。


 このサイズで、だ!!


 ――この世界のおっぱい強い。重力に勝ってる。


 成長期で自分のおっぱいがモリモリ成長した時、鏡に映る自分の体を見て、しみじみ思ったもんね。


 私は、前世の自分も今世の自分も、”人間”だと思っている。けれど、もしかしたら根本的にカテゴリーが違う生き物なのかもしれない。ゴリラみたいに腸の中でタンパク質を作ってくれる細菌がいるとか。なんかそういうレベルで違う気がしている。


 ……ぶっちゃけ、正面から”おっぱいがあると分かるように”女性を描くと、自然と巨乳になりやす……げふんげふん……男女ともに巨乳の方が体を描くときにバランスを取りやす……げふんげふん。


 ――んん? なんでこんなにおっぱいのことについて考えてるんだ??


 いやまあ、わりといつものことか。このエロゲみたいなことが起きる世界について考えてると、頭の中がエッチな単語でいっぱいになるからなぁ。

※1 シングルベッド二つとソファベッド一つ。


※2 車内でのガールズトークの直前まで、眼鏡”主人公”くんを巡ってバチバチにケンカしていた。しかし、第三者を交えて、改めて普通に話すことができたおかげで、ギクシャクした関係が緩和。話し合いの結果、三人で戦線を組んで優柔不断な眼鏡”主人公”くんを攻め落とすことになった。


※3 お孫さん師範代は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、調味料が入った段ボール箱をここに置いた。

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