表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/62

第十四話 うれしくない呼び出し

 (頭の中で)ひとしきり暴れまくった後、鎌首をもたげてきたのは後悔だった。


 いつかこうなることは分かっていた。ならば、私には、できることがたくさんあったはずだ。確実に処女でなくなるために、取り巻きハーレム先輩を通してできることが。


 でも、しなかった。いろいろと対策を講じたから、もう大丈夫だと思い込んでいた。


 取り巻きハーレム先輩ばかりを責められない。自分の浅はかさに凹む。


 ――そう、後悔しているのはそれだけだ。うん、それだけ。


 取り巻きハーレム先輩を都合よく使おうとしていた人間()が、彼に同情とか憐憫とかしちゃいけない。さすがに失礼すぎる。


 ただまあ、これから先、取り巻きハーレム先輩の人生に良いことがあるよう祈るくらいは許してほしい。やらかしたとはいえ、”主人公”くん先輩やお嬢様”ヒロイン”ちゃん先輩より、顔を合わせていたし話していた相手だから。ちょっとばかり情が湧いてしまった。


 それはそれとして、かなりガチなやらかし(※1)をしたそうなので、そこら辺はしっかりと反省してください。マジで。



 ◆



 どうにかこうにか気持ちを切り替え、ここ数日は新たな対策に移るための準備をして過ごしていた。今は向こうの返事待ちで、ちょっぴり手持ち無沙汰。


 休日だし、天気もいいし、出かけようかな? と思った矢先にスマホに通知が入った。相手はまさかの取り巻きハーレム先輩。なにごと。


 日付と場所と時間だけ。デートのお誘いにしては素っ気ない。呼び出し、と言った方が適切かもしれない。


 ふと気になって、ファンクラブメンバーのグループメッセージ(※2)に取り巻きハーレム先輩から連絡があったか、それとなく確認する。すぐに、玉の輿ガチ勢の二人から反応があった。


 「あんな人だと思わなかった」「ゼッタイに会わない方がいい」言葉は違うけど、二人ともそんな感じの内容だった。めっちゃキレてた。どうやら、この二人にも呼び出しがあったらしい。他のメンバーへは、なんの連絡もないようだ。


 ホッと胸をなでおろす。二人が無事でよかった。想像していた最悪の展開は無かった(※3)。


 ともあれ、すぐに返事があったということは、命の危険はない感じか。それにしても、かなり親しかった二人の次に連絡をするのが、入ってすぐの私。取り巻きハーレム先輩の考えはよく分からない。


 未遂とはいえ事件を起こした相手と、一対一で話すのはかなりイヤだ、けど。


 ……会うかぁ。


 考えないようにしても、”分かっていて何もしなかった”後ろめたさは拭えない。ならば、ガチ勢二人がキレるようなイヤな目に遭って、後ろめたさと相殺したい。


 そんな下心に背中を押されるようにして、取り巻きハーレム先輩に了承の返信をした。

※1 性的暴行未遂事件と傷害未遂事件。お嬢様”ヒロイン”ちゃん先輩の目をえぐろうとした。こわい。このレベルのやらかしで、転校で済んでるのもこわい。


※2 ファンクラブのメンバーだけのグループメッセージ。取り巻きハーレム先輩が入っているグループは別にある。


※3 こっぴどくフられたことによって気が狂って、婦女子狙いの猟奇殺人犯にでもなったのかなと想像していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ