第九話 飲み込んで、おじさんの○○
おじさんに後片付けをしてもらったあとも、私はベッドから起き上がれなかった。ギリギリまで血を抜かれて、ギリギリまでイかされたら、まあ、そうなるわな。
「さっきのを何回か繰り返したら、たいていの性感に対応できるようになるけど……」
そっか~~! 繰り返す必要があるのか~~~!!
ゆるして。
「『命を助けてもらってこれだけじゃ、釣り合ってない』か」
おじさんの胸元、赤い糸(※1)で縫ってある傷口からジワリと血がにじんだ。血液は生き物のように揺らめくと、宙で球形になり、私の口に飛び込んできた。
は? なんで??
するりと喉の奥に入っていく血液。舌を通り過ぎた鉄の味に、思わず目を白黒させる。
「これでよし」
ヨシじゃないが??
「いざという時、お嬢ちゃんの命を助けてくれるお守りみたいなものだよ。体に害はないから、安心してほしい」
そう言われると、ありがたくもらっておこうかな? と思ってしまう。
「ありがとうございます」
「じゃあ、忘れたころにまた来るから。またね」
わぁ~~! アフターケアもバッチリだぁ~~~!!
たすけて。
おじさんが去るのをベッドに寝ころんだまま見届けた後、私は眠りについた。というか、気を失った。
※1 血液を操作して傷口を固定している。縫っているように見えるだけ。




