それなんてエロゲ?
――――タイトル画面前の注意書きに曰く、
この作品に登場する人物や団体・地名・そのほか全てはフィクションです。
また、この作品に登場する人物は、全員18歳以上です。
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前世、(ピーッ)歳の社会人女性の記憶(※1)を引き継いで転生したけれど、剣と魔法の世界じゃなかった。普通に日本だった。しかも現代。ちょっぴり残念。けど、お父さんとお母さんの顔面偏差値が高かったのでオッケーです。
約束された輝かしい顔面に胸を躍らせながら、両親の愛情を一身に受け、楽しくて幸せな赤ちゃんプレイを満喫した。の、だけれども。なんだかこう、モヤモヤとした違和感が拭えない。
違和感がカタチになったのは、小学校の社会の授業。パラパラと教科書を開くと、前世からなじみ深い歴史上の偉人が並んでいた。
みんながみんな見目麗しい女性になっていた。
聖徳太子も、源義経も、織田信長も、坂本龍馬も、伊藤博文も、女性(※2)。日本だけでなく、世界の偉人もだいたい女性。
ちらほらと男性も載っているけれど、前世では聞いたことのない名前だ。ただ、同時代の偉人たちと深い関係にあったらしく、歴史を左右した立役者として大きく取り上げられている。
目を閉じて、深呼吸をする。
――それなんてエロゲ?
そう思ったのをキッカケに、生まれてから今まで見聞きしていた違和感が腑に落ちた。
この世界、めちゃくちゃ男性向けエロゲしてる。
※1 転生する前は、泣きゲーから燃えゲー、萌えゲー、抜きゲーなどなど幅広くエロゲを嗜む成人女性だった。(見る分には)甘々いちゃラブからバカエロ電波、NTR陵辱催眠、肉体改造猟奇まで、どんなエロに対しても寛容。自分が死んだ後、部屋に残されているであろうキラキラしたシールがついた空き箱の山については、考えたくないので考えていない。ごめんなさいとは思っている。
※2 この世界では、(前世の感覚で)男の子の名前を女の子につけるのが普通。たとえば、太郎は男女ともに使える名前で、花子は女っぽい名前。歴史上の人物の名前を覚えなおさなくて済んだのは助かるけど、違和感がスゴい。最近では、花子を男の子に使ってもいいのでは? という意見も出てきた。