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日常
「ガシャーン」
漫画だったらこんな風に描かれるであろう音で振り向いた俺と一緒に帰っていた友人の光。
ああ・・・またか。
後ろでは大破した車と巻き込まれたのであろう頭から血を流した子供、慌てて救急車を呼ぶ人と傍観者。
事故なんかどこかしらで毎日起きているはずなのにいざ身近で起きると一気に非日常のような気分になる人が大勢だろう。しかし、俺は違う。
こんな風に冷めた目で事故を見てしまうのも全て変な能力を持って生まれてしまったせいだ。この力さえなければもっと明るくなれて、友人も光だけではなかったかもしれない。
「和・・・。ここに居ても邪魔だろうし帰ろ!きっと大丈夫。助かるよ。」
光は優しいからそうやって暗い顔の俺をいつも励ましてくれる。しかし、俺は知っている。あの子はどう頑張っても助からないことを・・・。