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ちょうちんわん公がゆく  作者: イズクラジエイ
第三章 星の海と炎の海
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#050 『不滅の体』



 俺の渾身の魔力を込めた光線は外れてしまった。


 想像以上の火力だったが、当たらなければ全く意味がない。しかし、リトライしようにも感覚的にしばらくはもう一度同じだけの力は出せない気がする。どうする俺。



「おいおいおい、やってくれたなお前ら……」


「ちくしょう! 外した」


「おいおい、犬コロまで危ない能力もってやがる。腐っても魔獣って事か」


 思わぬ痛手を受けて悪態をつくビトー。



「腐ってねーよ! 失礼な奴だな」


 あまつさえ人を犬コロ呼ばわりしている上に腐った魔獣扱いだ。


 さっきは蹴飛ばされたし、今更ながらちょっとムカついてきた。



「ウム。あいつは馬鹿だから考えて喋ってはおらん。気にするな」



 それにしても、ビトーは右手を切り落とされ重症のはずだが左手で傷口を押さえつつも平然と喋っている。こんな状態を見るのも始めてだけど普通もっと痛がるとかするんじゃないのか?


 超人だから大丈夫なのか。意味が分からん。



「腕斬られて平気そうだぞ? どうなってんだアイツ?」


「ウム。奴は、ビトーは不死身だ。あの程度のダメージでは倒せん」


「えぇ!? 何でそれを先に言わないんだよ」



 魔法的な力で人体改造された超人で強いとは聞いていたが、不死身とは聞いていない。



「ウム。言ったら逃げただろう?」


「あたりまえだ。冗談じゃないぞ」


「ウム。あやつだけは国境超えをしても、軍の命令なんぞ無視して追ってくる。ここで抑えておかねば」



 バウムの言っていることは分かる。安全地帯に向かっているのに、その安全が担保されない原因があるならそれは排除したい。



「どうするんだ」


「ウム。私は魔力が切れた。公頑張れ、わん公」


「ちくしょうめ!」


「畜生は鳥獣虫魚の総称だ。あってる。ウム」


(…………)



 やるしかない。やるしかないのだが、何か腑に落ちない。



「おいおい。もう打つ手が無いようだな。俺もいいかげん腹が立ってきて腹が減ってきたぞ」


「知らねーよ」



 俺はそれから迫ってくるビトーを通常の閃光で撹乱しながら噛みついた。


 こんどはビトーの残った左腕に噛みつき、ビトーは必死に振り払うが、疲労させたのが効いているのか最初に蹴られた時のような勢いはない。



「俺の固有能力は不滅の体(ノスフェラトゥ)だ。そんなもんでは倒せんぞ」


「はうわうわわは。わわうはうはえはうふいへはう。はうはえへほは」

(こうなったらヤケだ。動けなくなるまで噛み付いてやる。何回でもな)


「おいおいおい! 何言ってるかわかんねーよ!」



 そうこうしている間に、バウムが切り落とされたビトーの右手を足で掴んで運んでいた。



「おいおいおい! 何をするんだ博士」


「ウム。お主は腕くらいすぐくっ付くからな。体から離しておくのだ」



 それを見たビトーはその辺に転がっているソフトボールサイズの石を拾ってバウム目掛けて投げた。


 俺はそれを伝えるためにうっかり噛み付いた顎の力が緩まり、同時に振りほどかれてしまう。


「バウム危ない!」

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