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ちょうちんわん公がゆく  作者: イズクラジエイ
第三章 星の海と炎の海
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#045 『宇宙わん公』



 俺はそれからその石碑のある場所で一夜を過ごすことにした。


 丘の上で見晴らしもよく人工物があるというだけで少しだけ安心できたのかもしれない。


 この世界は謎に満ちている。


 あの街も観光で来たならばきっと純粋に楽しめただろう。


 職業柄仕方ないけれど先の石碑の件も含め、探究心というか“知識欲”が出てきてしまっている。



「バウム。この石碑について何も知らないのか」


「知らん。私は魔導学者だ。かじっているが古代史は専門外だの。ウム」


「こういうの詳しい奴いるのか?」


「私の友人なら、何か知っておるかもな。あいつの方が古い知識がある。私は過去には興味はないの」



 俺にとってここで知ることは全て新しい事実だが、そこは突っ込まないことにした。


 月明かりがきれいな夜。


 雲もほとんどなく、星がよく見えた。



「……星か……星!?」



 俺は空を見上げて驚いた。


 地球と星の位置がほぼ同じだった。


 ほぼ、というのは俺が正確に星の位置を記憶しているわけではないからだ。推測でしか無い。


 だが、さすがにこれは見間違えない。あの空に見えるのは間違いなくオリオン座の並びだ。



「バウム! あの星の並び、呼び名はあるのか?」


「ウム。オリオン座か。誰が決めたか知らんが、太古よりそう呼ばれておるの。文献にものっておる」



(やはりそうか。ここには地球と同じ文化がある。言葉が通じるからおかしいとは思っていたんだ)



「ここに宇宙船はあるのか?」


「ウム宇宙とな。そんな物はないの。行ったことはないが、別の惑星から来たと噂のやつならおるがの」


(文明レベルは微妙に違う。でも似てる。手がかりはありそうだ)


「そいつに会えるか?」


「ウム。それならもう会ったじゃろ、わん公。ポラリスの魔女とトラベラーだの」



 意外。俺は既にこの謎を知るであろう人物にもう会っていた。


 魔女は話通じないから、トラベラーしか実質、情報を聞けそうにないが。



「マジかよ!? あいつら宇宙人かよ」


「ウム。私からすれば別の世界から来たお主も宇宙人だがの。今は宇宙わん公か」


(宇宙わん公……聞いたことの無いフレーズだな)


「……そうか、そういう事になるのか」



 いつか予想したとおり、ここは平行宇宙なのかも。それか、かなり時間の経った未来の地球の線もありえる。


 俺の脳が作り出した壮大な幻想の可能性も捨てきれない。


 それにしては痛いし疲れるしでリアルだけれど。


 俺はいったいどこまで来てしまったのだろうか。



「ピエピエーピエピエー」



 エクレアが何か言っている。



「なんだ? エクレア」



 その後のリアクションが無い。近づいて覗き込んだところエクレアはぐっすりと眠っていた。


「寝言かよ!?」

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