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ちょうちんわん公がゆく  作者: イズクラジエイ
第三章 星の海と炎の海
34/63

#033 『13匹の魔獣』


「ウム。行ったか……」


「なんだったんだ、あいつら」


「ウム。あやつら階級章を付けていなかった。ロブスタ軍、デミタス総統直轄の特殊工作兵だろうな」


「デミタス総統?」


「ウム。言ってなかったかの。今の軍の最高司令でトランスギアを開発した天才科学者でもある」


「俺たちそんなヤバイ奴に追われているのかよ。それになんでそんな事に詳しいんだ?」


「……私も軍属の研究者だったからの。ウム」



 その話になるとバウムの口が重くなった。


 追ってからアルバート博士と呼ばれ、何か重要な情報を握っていて追われている。


 そこまでは分かる。


 きっと、そこに至るまでに相当辛いことでもあっただろう事が想像できる。


 少しだけ沈黙の時間が流れる――





「ピエー」


 状況が落ち着いた事に気づいたエクレアも近くに戻ってきた。



「そういえばバウム。エクレアの実家が近くにあるらしいんだが何か知らないか?」


「エクレア?」


「ああ、このウサギの名前らしいんだよ」


「ウム。知ってはおるが、お主どこでソレを聞いたのだ」


「変なタイムトラベラーの爺さんに会って聞いた」


「トラベラーだと!? あの人物に会ったのか!? いつ? どこでだ!?」



 急に慌てだしたバウムの口調に驚きつつも俺は一つずつ説明していった。


 すると新たに分かったことが増えてきた。



「トラベラーの本名はジョージ・デミタス。現デミタス総統の肉親にしてロブスタを独立国家にした偉大な人物だ」


「えぇ!? 凄いやつだったのあの爺さん」


「ウム。国家元首の任を息子のデミタス二世に譲ってからは表舞台には一切出てきていない。国の政策の為に何か暗躍しているとは思っていたが、お主に接触してきたか」


「よく分からないが謝罪されたよ。俺が特別で何かを変えられるとかとも言っていた」


「ウム。そこは私の読み通りだの。そう! わん公、お前は想定外の13体目の魔獣なのだ」



 目の輝きを取り戻したバウムはそれから【造られし禁断の魔獣(フォビドゥン)】について語りだした。



「ウム。少し力が戻った。お主に見せてやろう」


 何やらバウムは集中して低く唸りながら目に力を込めて目を瞑った後、俺に向かって輝く目を見開いた。


 それを見た俺の目にVRゲームのバイザーでも付けたような立体映像が映し出された。



#01

固有名称:ラウニー

魔獣形態:鼠型

固有能力:ジ・クリエイション(天地創造)


#02

固有名称:ヌガー

魔獣形態:牛型

固有能力:リインフォース(強化因子)


#03

固有名称:ロア

魔獣形態:虎型

固有能力:ブレイズ(狂乱の炎)


#04

固有名称:エクレア

魔獣形態:兎型

固有能力:ノイジィ(無極のさざめき)


#05

固有名称:シュトーレン

魔獣形態:龍型

固有能力:ディザスター(天変地異)


#06

固有名称:ドレーヌ

魔獣形態:蛇型

固有能力:メタモルフォーゼ(変幻自在)


#07

固有名称:ステラ

魔獣形態:馬形

固有能力:オアシス(安息空間)


#08

固有名称:マシュー

魔獣形態:羊型

固有能力:レジスト(完全耐性)


#09

固有名称:ポルボロ

魔獣形態:猿型

固有能力:インビジブルスター(不可視の星)


#10

固有名称:バウム・アルバート

魔獣形態:鳥型

固有能力:アイ・オブ・プロビデンス(神の全能の目)


#11

固有名称:ディン

魔獣形態:犬型

固有能力:ディストーション(制約の闇)


#12

固有名称:アマンディーヌ

魔獣形態:猪形

固有能力:ドリーマー(夢見る少女)



「そしてわん公、お主のデータだ」


#13

固有名称:レイト(正式登録なし)

魔獣形態:深海魚型

固有能力:ラジアルレイ(自由の光)



 バウムはどういう仕組みか俺の目に直接情報を見せて説明する。



「まじかよ、3番の奴! 俺3番目のロアとかいう魔獣に殺されかけたぞ。あいつも【造られし禁断の魔獣(フォビドゥン)】だったのかよ」


「ウムッ!? ロアにも会ったのか!? 魔獣はそれぞれ強力な固有能力を持つが、あれは元は孤児でトップクラスに危険な奴だの」


「だろうな! 俺もエクレアも問答無用で火葬されかかったぞ」


「ウム。我ら【造られし禁断の魔獣(フォビドゥン)】は境遇が同じ同類というだけで、別に仲間というわけではないからの」



 バウムが力説を始めて、大分話が脱線したが俺は情報はすべて吸収するつもりで聞いていた。


 一頻り話を聞いた後、俺は話をエクレアの事情に戻した。



「――それで、俺たちはエクレアの居た実家を目指してたんだけど」


「ウム。小さな町ならこの森を抜けた所にあるが、あそこは……」


「なんだ?」


「いや、行けば分かる……ウム」



 歯切れの悪い返答に疑問を持ちながらも、目的地が決まったので移動しながら話す事にした。

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