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ちょうちんわん公がゆく  作者: イズクラジエイ
第三章 星の海と炎の海
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#029 『不死身の軍隊』



 頭上から襲ってきた黄色い軍人が静かになり、落ち着いて周りを見てみると、やはり最初にバウムの風の斬撃で倒した男が居ない。


 たった今、エクレアが踏みつけて伸びている男も同じサングラス同じジャケットをしている。


 お揃い?いや、そんな事もなさそうだ。


 しっかり確認したわけではないが、背丈も体格も違わない気がする。


 同一人物のようだが、何かおかしい。


 バッサリ斬られた上に、高所から落ちだのだ。


 無事なわけがない。


 仮に傷が浅くやられたフリをしていたにしても、地面に伏していた者が上から降下してくるのは変だ。


 こいつら魔獣では無いやつらにも何か不思議な能力があるのか――



「バウム、どういう事だ。こいつら何か変じゃないか?」


「ウム。トランスギアは単純な魔法しか行使できん。何らかの能力だろうの」



 この世界には魔法があり、トランスギアと呼ばれる魔法を原動力にする機械があるようだけれど、それは一定の法則に従っており「何でもあり」の魔法ではないようだった。


 ポラリスの魔女が使っていたアポーツのようにインチキじみた転送魔法も体験したが、あれはたぶん例外的な強力さだったのだろう。


 そう願いたい。


 あんなのがこの世界で一般に普及している魔法だとしたら、もうお手上げだ。


 あれはその場から逃げるだとか、戦うだとかそういう次元の力じゃなかった。


 この軍人たちがそんな強力な魔法や能力じゃないとしたら、今何が起こっているのか。


 それを解明出来ないと安心できない。



「もしかしてこの黄色い男、不死身なんじゃ……」


「ウム。私は不死身の男を知っているが、こいつらはそれとは違うようだの」



(こいつら?)



 バウムがそういってもう一人の赤いジャケットの男の方を気にかける。


 俺も血溜まりに伏せる赤い方の男に目をやる。


 すると、なんという事だろう――



「おい、バウム。こいつの体なんか透けてないか?」


「ウム。何かカラクリがあるようだの」



 男は出血して流れ出た血液ごと半透明になって透けていき、やがて消えてしまった。


 黄色い男がなぜ再び襲ってきたのか、少しだけ謎が分かってきた気がする。



「……まずいぞバウム! 何か分からんが、ヤバイ気がする。きっとまた襲って来るぞ」


「ウム、落ち着けわん公。反応できない早さではない。周囲の気配に集中するんだの」



 そう話している間に男が倒れていた場所に影が見えたのですぐに気づいた。



「上だっ!」



 赤いジャケットの男も、黄色いやつと同じようにパラシュートでゆっくりと降下してくる。


 さっきからこの2人の軍人、隙だらけの気がするが何なんだ?



「バウム。またさっきのアレで倒せるんじゃないのか?」


「ウム、既にもうやったんだの」



 バウムの放った真空波は赤いジャケットの男の体をすり抜け、その後ろの木々を切り崩し木の葉を舞い散らせるにとどまった。



「残念だったな。今の俺は無敵だ」

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