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ちょうちんわん公がゆく  作者: イズクラジエイ
第三章 星の海と炎の海
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#025 『森の切り株』



 俺の体が光で回復できることは分かった。


 見た所エクレアの負傷も軽いようだし、俺達はこの見通しがよく危険な場所から移動することにした。



「いくぞ、ここでは俺たちは目立ちすぎる」


「ピエ」



 そう提案すると、エクレアは奥の森へ向かってヒョコヒョコと移動し、こちらを時折振り返る。



「なんだ? そっちの方向に何かあるのか?」


「ピエピエ」


「そういえば、トラベラーがエクレアの家が近いって言ってたような……」


「ピエ!」


「そうか、そうなんだな」


「ピエェ」


「よし、じゃあいこう」



 俺たちは散々な目にあった星海とその浜辺をを後にして内陸の森へと歩みを進めるのであった。


 茂みから入っていくと森の中は案外普通だった。


 小さな鳥も居るし、見たことあるような蟻や蝶などの虫も生息している。


 基本的には地球の生態系とさほど変わらないようだ。



(やはり俺たちと、さっきのやつらだけだよな変わってるの……)



 最悪、森の中も魔獣だらけで逃げ回る事も覚悟してはいたが、そこまで化け物がそこらじゅうひしめいているというわけでもなさそうだ。


 周囲に嫌な匂いもしない。


 多分大型の獣は近くには居ないとみていいだろう。


 さっきみたいに急接近してくる可能性もあるから油断はできないが。


 先行するエクレアはウサギの体であるがゆえ、小さく身軽な事もあり森の中を苦なく進んでゆく。


 人の通らない森というのは、もちろん道などはなく何かが通った後のような獣道すらない。


 人間の体ならば多分この森を進むのは困難であろう。


 山になっているのか、進む方角は平坦ではない。


 上も足元も気にしながら昇り気味に進まなくてはならず、何も考えないで行くとすぐにつまづくくため集中力が必要だった。


 草木は生い茂り、木は高く力強く頭上に伸び、その葉は空からくる光をさえぎって闇の空間へと変え、来るものを拒む。


 そんな風に感じるほど、大自然そのものの植物とそこへ安住した虫や小動物がその生を謳歌おうかしていた。



 俺はそんな森を進むエクレアの後をついて行くのがやっとの状態。



「エクレア、全然前がみえないぞ。こっちであってるのか?」


「ピエー」


「わっかんねぇよー」



 暗闇の道なき道を照らし進みゆく、うさぎと犬。


 問題と分からない事だらけ。


 時計もスマートフォンもノートパソコンも無いとこれほど不便だとは思わなかった。


 もっとも、それらがあったとして、こんなどこの国かもわからない森の中で通信できるとも思えないが。


 当たり前にあるものが無くなった時にわかる有り難みをひしひしと感じていた。


 もっと、情報がほしい……






 そんな事を思いながら、しばらく進んでいるとある異変があった。



「空から光が入っているぞ、ぬけたのか?」


「ピエ」


「まて、エクレア違うようだ」


「ピエ?」



 暗闇の中から急に上から差し込む光。


 茂みから抜けた場所で一部だけ空が見えている状態。


 原因はすぐに分かった。



「大木が倒れている……」



 それはここに来るまで見たこともない巨大な木が根本から斬られ、不自然に周囲の木をなぎ倒していた。


 切り株というにはあまりに巨大な舞台のステージのように高台になった円錐が地面に生えている。



(これは自然にこうなった物ではない。何かここにいたんだ)



 周りに注意していると、エクレアが先に何かに気づいた。



「ピエ、ピエピエー」


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