20.07.20
僕らはこの街でおとなしく暮らしていた。
僕らの生活は外部から遮断されており、不思議な監禁状態にいたのに、決して僕らは脱走を企てたり、外部の情報を書き込むことに熱中したりしなかった。ここでの暮らしに満足していたし、平静な秩序があったからだ。
ここはもともとキャンプ場だったらしい。山の高原に位置し、山下の海を見渡せたが車で来るにしても困難な道のりで、客足が少なく閉業したらしい。
その後、療養所の未成年者病棟としてここは建てられた。しかし、何の療養所なのか、実は僕にもよくわからなかった。
車椅子の子もいれば、精神疾患の子もいるし、沢山の医療器具に繋がれて自分の部屋から一度も出てきたことのない子もいため、一概に一つの障害、病気を持つ人たちだけの療養所ではないみたいだ。そんなのって変だと思う。
17歳の僕が最年長で、次は15歳の唯一の少女がいて、残りの患者は14歳の少年が4人いた。みんな僕を慕ってて、僕はみんなのことを軽蔑していた。
どうして僕がこいつらなんかと一緒にいるんだろう。僕には自分がここにいる理由すらわからない。だけど、僕はここを気に入っていた。ここにいる奴らは看護師も含めて馬鹿ばかりで、飯の話か天気の話しかしやしない。本なんて読むような奴はここにはいない。だから今日も僕は本を読んで勉強する。外の奴らにだって負けないように。
ここには50mプールがあるため、1日1時間泳いでから、サンルームで本を読むのが日課だ。
少女と4人の少年たちは僕の後についてくるが、途中から飽きて鬼ごっこや馬鹿話を始める。そのうちの少女は頑張って僕についてこようとするが、足が悪いため満足に泳げやしないため、途中で諦めて、少年たち遊び始めた。
小鳥みたいに笑い合う少年少女が僕は美しいと思った。
僕が代わりに勉強するから、みんなはいつまでも馬鹿のまんまでいて欲しいと思った。