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短篇集

タイムスリップ

作者: 荒木凪

 未来というのはずっと続くものである、と大半の人間は思ってるだろう。それもそうだ。超常現象―それこそタイムスリップや過去改変なんかがない限りは未来は永劫に続くだろう。

 ならばもしタイムスリップの技術があればどうなる?


 とある人は言った。

「未来とは自由であり、無数の選択肢がある。その選択次第で未来は変わっていく」と。

 確かに間違いではない。しかし過去が変われば?

 これはそんな物語。

 

 きっかけとは些細なもので、およそ2年にも及ぶ日本の圧政を変えたかったからだ。つい1年前にタイムマシンが出来たことは全国報道され、歓喜に湧いたとともに、世界各国の脅威の的となった。それさえ使う事ができるのであればこの現状も何もかもを変えることが出来るだろう。

方法もしっかり考えてある。2年前程に暗殺された前総理の暗殺阻止、これしか方法がない。

 国家が運営している研究所に忍び込んだ俺と友人―佐武は、タイムマシンの置いてあるフロアを目指した。幸いなことに、警備ロボットの巡回ルートや監視カメラの位置は前々から忍び込んで入念にチェックしたため、見つかることなく辿り着くことが出来た。

「お前が過去に行くんだ!俺がこれで操作する!」と友人に言った。こいつなら上手く阻止してくれるに違いない。それにあの人とどこか似てる...いや、今はそんな感傷に浸ってる場合ではない。

 無言で頷き、マシンに向かって走る彼を見送りながら私はマシンを起動させた。丁寧な事にどれがどんなボタンかをしっかり表示してくれていた。

「準備はいいか!?」と聞くと、彼は無言で頷いた。いよいよ世界を変えることが出来るという期待を込め俺はそのスイッチを―

 

 激しい地鳴りで目が覚めた。記憶が曖昧だったが、すぐに覚醒した。

 ―そうだ!あいつは無事行けたのか?

 機械の中には誰もいなかった。おそらく成功したのだろう。俺も見つかる前に早く逃げなければ。

 立ち上がるとまた地鳴りがした。地震と言うにはあまりにも揺れが短い。何かがおかしい。

 帰りも難なくエントランスに辿り着いたが、そこに待ち受けていたのは崩壊だった。

 逃げ惑う人は消えていき、眼前に広がる世界は無に帰していた。いや、崩れ落ちていったと言った方が正しいだろう。

 俺はそれを止めるすべもなくただただ立ち尽くすことしか出来なかった。

 

 さて、未来というものはずっと続く、と大半の人は思ってるだろう。だがそれは間違いだ。まず時間という物は一本の線である。例え分岐していたとしても、どれかひとつを選択する必要性がある以上それは最終的に一本の直線である。

 未来からのタイムスリップによる過去改変。これによって未来は崩壊する。

 分かりやすく説明するならば、AとBの分岐点があり、Aを選ぶとする。すると当たり前だがAを選んだ世界線として一直線に時が流れる。しかし、Aの世界線から分岐点に戻りBを選ぶとAの世界戦は一体どうなるのだろうか?

 

 さて、話が長くなったが、この世界の話はおしまい。彼が見事未来を変えてくれたからこそ俺がいた世界は崩壊した。

 どうか「世界」の犠牲で「世界」が救われるように―


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