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第11話

意外にも想定外だった緊急お泊まり会は特になんの問題もなく、進んでいた。午前中は勉強をした。陽がごねるぐらいでみんな集中して取り組んでいた。そしてお昼はたまたま買ってあった弁当やら惣菜などで何とかなったが、夜ご飯は今、冷蔵庫にある材料から料理を作らなければならないだろう。


俺は戦力になれないことはわかっているので是非とも頑張っていただきたい。


とりあえず北風と姉は料理が上手なことはわかっているので全滅だけは回避出来る。


午後からは勉強の息抜きも兼ねて何か遊ぼうと思ったんだが、外は相も変わらず吹雪だ。ということで家中からみんなで遊べそうなものを集めた結果…


「これだけか…」


俺たちの前に広がるのは我が家に存在する娯楽である。


トランプやジェンガ、人生ゲーム、あとは……もうほとんどないな……。俺の部屋にある漫画、ラノベ。以上!!


「意外と荒木先輩の家に遊び道具って少ないんですね…」


雪乃ちゃんにそう言われても仕方ないとしかいいようがないな。うちの家族は何かを買って家でのんびりすることがなかった訳では無いが、1番の権力者たる母と姉がアウトドア派だったために外で遊ぶことやどこかにふらっと行くことが多かった。もちろん家で遊ぶこともあったが遊び道具が少ない上に古い。


両親が亡くなってから新しく買ってないしな。ゲーム機でいうならうちはwi○で止まってる。それ以降新しいのが出ているが特に買い替えたりはしていない。


「ごめんなさいね」


「いえいえ!そんなことないですよ!」

「…月夜さんが謝ることじゃない…です」


そうは言ってくれるものの遊び道具が少ないのは事実だ。ジェンガは人数的にキツイよなぁ。もしかしたら2巡したら終わるかもしれない。トランプでもいいが、トランプって最終奥義感がある上にやるなら夜の気がする。ならば………


「とりあえず人生ゲームしてみるか?」


そう提案してみる。ゲームなら昔のゲーム機器で全員が同時にするのは難しい。ならば人生ゲームがいいだろう。まぁ、反対されたならゲーム機器にしようと思ったが……


「私はいいわよ」「…私も」「面白そうだな」「楽しみ〜」「このタイプは初めてです」「私も」


意外と反対意見は出なかったので早速プレイする。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「やったわ」

「結構いい順位です」

「あ、荒木くん…大丈夫?」

「………おい神楽、どうなってんだよ?お前……」

「………………うるせぇ」




結論から言おう。俺のボロ負けである。


順位は上から姉ちゃん、北風、陽菜ちゃん、雨宮さん、雪乃ちゃん、陽、大幅に下がって俺だ。


ゲームの序盤は驚く程に俺に有利にゲームが動いていた。大きな数字を出して先に進んでいたし、お宝やらいい家やらを買っていた。多分俺が1番金を持っていたと思う。


しかし、中盤辺りからゲームが大きく動いた。何故か知らんが俺の家が炎上した。まじで何が起こった??火災保険もない俺は何も出来ずに燃える家を見ていることしかできなかった。


1番高い家だったのに……。ぐすん。


そこからゲームが動き始める。まずなぜか知らないが、俺が自動車の追突を起こしてしまったり、金が風で飛ばされたり、職を失ったり、隣(月夜姉ちゃん)に金を渡したり……etc……と散々である。


俺も長い間人生ゲームをプレイしてきたつもりだったが、ゲームが終えた手元に借金が残ったゲームは初めてだよ。


対して姉ちゃんは順風満帆のエンジョイライフを送ってやがった。


ちなみに陽が第6位とかなり低い順位にいるのも理由がある。それは強制的に止まる結婚のマスに止まった時のことだ。その時は陽が3位で、最下位を争っていたのが陽菜ちゃんと雨宮さんだった。ちなみに1位が俺、2位が姉ちゃん。


すると最下位争いをしていた2人が組んで作戦を立てた。


「え?おにぃ海咲ちゃん以外と結婚するの?信じられないんだけど」

「…陽…結婚するの?」


「み、海咲……。ゔぅん……!!」


「ほら、陽、御祝儀の5000円」

「………………ちょっと待って神楽………」

「ん?どした?」

「………………結婚………しま……せん……」

「??何言ってんだ?ここ、結婚マスだけど?」

「俺には…海咲がいるから……」

「…陽……お前………」

「言うな!神楽!」


陽は陽菜ちゃんの毒舌(こうげき)と雨宮さんの上目遣いの果てに結婚しないことを選択した。


これが後に足枷になる。何故か陽は子供出産のマスに多く止まるんだが、独身の以上そんなことが起きる訳がないということで特になんの意味もないマスになった。


ちなみに雨宮さんは容赦なく結婚を選んだ。雨宮さんいわく「……これはゲーム…。勝負はシビアに」との事だ。


俺がトップだった頃はちょっとだけ「かっこいい」なんて思ったが、俺が最下位に落ちた時には「こいつ馬鹿だろ」と思った。心の余裕が違うな。


その後も勉強して休憩がてらにゲームをしてと割と充実した1日だと思う。新年らしくはないけどな。


「そろそろいい時間だし、夜ご飯を作り始めましょうか。この中で料理ができるのは……」


そう言って挙手したのは4人。俺と陽以外の女性陣の皆様だった。


北風が料理できるのは知っているし、陽曰く「海咲の料理って結構上手いんだよ」って言ってたから料理ができるのだろう。食べたことは無いが……。


意外だったのは雪乃ちゃんと陽菜ちゃんだな。まだ中学生だと言うのに料理ができるというのか…。未だに俺は包丁を使うことになれぬというのに。


「…う〜ん…そんなにうちのキッチン広くないのよねぇ。せいぜい3人ぐらいしか入れないのよねぇ。順番制で行きましょうか。せっかくだし、男の子も加えてね」


「「え"?」」


その言葉に俺と陽は同時に頬を引き攣らせた。


「い、いや姉ちゃんそれはさすがに無茶だって…。俺が料理出来ないの知ってるだろ?」

「お、俺も神楽と同じかそれ以下のものしか作れませんし…」

「本当に暗黒物質(ダークマター)が誕生するかもしれないからさぁ……」


「でも、今の時代できることが多い方がいいわよ。いつ役に立つことがあるか分からないじゃない。それに料理は一生必要なんだから」


正論すぎるが故に反逆できない。正論は時に暴力となって牙を剥くのだ。




ということで俺、陽、北風、雨宮さん、陽菜ちゃん、雪乃ちゃんを含めた6人で別れることになった。ちなみに我が姉は総監督兼米炊き要員である。


この時ばかりは俺も反論した。米炊きなんて俺でもできるから変わってくれ!と。さすがの俺でも米炊きぐらいはできる。陽もできるのだからそこは俺たちにやらせてくれ!!と懇願したのだ。しかし、その願いが届くことは無かった。曰く「米炊きに2人も要らないでしょ?飯盒炊飯じゃないんだから」


全くもってその通りである。俺と陽のみっともない殺し合いが行われたが、月夜姉ちゃんによって制裁された。


さて、ここで3人2組か2人3組に別れることになるのだが、2人3組の場合俺と陽がペアになる可能性やそうでなくとも俺たちは役立たずなので実質1人になってしまうことから3人2組に決まった。ちなみに俺と陽になってしまったらやり直すことになった。さすがに役立たず2人を1人で抱え込むのは不味すぎる。爆弾を抱えたまま日本一周してこい!と言われるようなもんだ。まず間違いなく死ぬ。


 ということで

「「「「「「グーとパーでわかれまっしょ!」」」」」」


「「良かった〜陽(神楽)と同じじゃない!」」


はい、1発で決まり、俺と陽が綺麗に別れた。やったぜ!


先攻は俺、雪乃ちゃん、北風の3人だ。

「おぉ〜、文化祭終わりを思い出すね〜」

「…私あの時料理してなかったけどね」

「そういや、そうだな」


あの地獄の北風家訪問の時か。あの時と違い、雪乃ちゃんを加えた3人で料理するのだ。安心感が増すぜ!


後攻は陽、陽菜ちゃん、雨宮さんの3人だ。

「お!これは安心出来る!」

「…くっ!神楽先輩と料理したかった!」

「…川野家の味…極める!」


気合いの入っている雨宮さんに悔しがる陽菜ちゃん、それに俺と同じく安心している陽と三者三様の反応だった。


ちなみに月夜姉ちゃんは既に米洗いを始めている。


ということでLETSクッキング!

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