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第28話Side北風真美

「文化祭楽しめよ。まだ時間あるんだから。俺はゴリラを先生に渡してから行くから。」


あれから結構泣いてしまった。それでも彼が離れることなくずっと傍にいてくれたのは嬉しかった。でも、そのせいでずっと心臓がうるさかった。彼にこの音が聞こえていないか心配だった。


「わかった。それじゃあ…行くね。」


「あ…あぁ、ちょっと待て」


そう言って呼び止められたのでもう一度彼の方を向く。すると…


「これ、ちょっとの間つけてろ。そんで、ちゃんと笑えるようになったら外せ。そこからほんのちょっとずつでいい。本当の「自分」を出せるように頑張れ。……あと、その服似合ってる…。あぁー!じゃあな!」


それは彼がずっとつけていた祭りで売っているようなお面だった。それ以上に嬉しかったのは彼が私のメイド服を似合ってるって言ってくれたこと。意外な形で私のお願いがかなった。それを顔を赤くしてまで言ってくれるとは…。とても嬉しい!


でも、そんな事言わない。彼に応援されたのなら私はそれに応えないと!それだけ考えよう!


「うん♪ありがとう!それじゃあ行くね!」


多分今すぐ仮面を外しても彼の前だと自然に笑えると思う。でも、まだ歩香達の前では「自分」を出せるか分からない。だから、つけていけって言ったのだろう。


クラスに戻る途中に何人かの男子教師が、体育館裏に向かっていた。彼が通報したのだろう。ちょっと心配したけど、今戻ると彼は怒ってくるから行かない。


それに今はクラスの友達に会いたい。


クラスの前まで来たけどちょっと緊張する。昔にちょっと嫌な思い出があるんだ。


勇気を振り絞って、お面を外してドアを開けた。


すると、私に気づいた歩香、茜、恵が


「「「真美〜!!!」」」


「きゃっ!」


飛びついてきた。これには驚き。


「大丈夫だった〜!!??」


「心配したんだよー!」


「ごめんね〜!!」


みんな心配してくれてた。それがとても嬉しかった。


「荒木くんが「連れてくる」って言ってたけど、心配してて!」


「心配してくれてありがとう!私は大丈夫!」


本当にもう大丈夫。あの時の恐怖は全く無い。


「それとごめんね。気づいてあげられなくて。」


「えっ?何が?」


茜が私に謝ってくるが、何に対して謝っているのか全く分からない。


「荒木くんがね、真美のところに行く前にさ、「北風はいつも無理してるっぽい。だから、助けてやってほしい。」って。それなのにそんなことに気づけなくてごめん。」


彼はそんなことまでしていたのか…。もうっ!カッコ優しすぎる!彼への「好き」という気持ちが溢れ出てくる。こんなことして、惚れない人っているのかなぁ?彼にそんな気がないことはわかっているけどね。


「気にしないでよ!そんなの何も相談しなかった私が悪い!だから、気にしないで!」


「うぅ、わかった。でも、これからはちゃんと相談してね?絶対助けるから。」


私の友達はとても素晴らしい人達だ。そんな人たちを騙していたような罪悪感が生まれた。


そこからは色んなことをした。修学旅行で森本くんと付き合えるように仕組もうとしたことも謝ってくれた。クラスに戻ってみんなでメイドして…。いつもの4人で文化祭回って。最高に楽しかった。


「真美、変わったね」

歩香が急にそんなことを言ってきた。でも、事実だ。私は荒木くんに変えられた。


「そうだね。前の方が良かった?」


「ううん。今の方がいい。表情が前より楽しそうに見えるもん。」


それは良かった。自分で言っときながら、答えを聞くのは少しビビっていたから。今の方がいいと言われて安心した。


そうして文化祭本祭が終わった。


後夜祭では、彼と踊ろうと思っていた。というか、彼と以外踊る気はなかった。彼は私と踊るのを嫌がると思う。でも、何とか説得して一緒に踊りたい。


どうやって誘おうかな?ってずっと考えていた。男子が、私と踊ろうってすごく絡んでくるけど、どれも無視した。


でも、彼は後夜祭に来なかった。気になって川野くんに聞いた。事情を知ってそうだから。


「あぁ〜神楽ね。アイツ今反省文書いてんだよ。ゴリラ?殴ったからだって。」


え?あの後先生が来てから事情を説明したんじゃないの?そういえば、なんで彼はあそこに残ったんだろう。あの時、あそこから逃げれば先生にみつかることなんてなかったのに。


もしかして、私のため?先生に私のこと教えてないのかな?それしか考えられない!彼は優しいから。


うぅ〜!優し過ぎるよォ!これ以上私を惚れさせてどうすのさぁ!


川野くんの前なのに、顔が赤くなるのを感じた。


「北風さんが、良かったらなんだけどさ」


急に川野くんが話しかけてきた。思えば川野くんと2人で話すってあんまりないな。荒木くんとは話すのに。

「うん?」


「神楽のこと、頼めないかな?」


どういうことだろう?


「神楽ってさ、俺の憧れなんだ。優しくて行動力あって。でも、アイツってあんまり他人と関わろうとしないんだよね。だから、北風さんにもあいつと友達になって欲しい。それがきっと神楽のためになるから。」


良い友達だなぁ。素直にそう思った。


「知ってるよ。彼がいい人だって。私も彼と友達になりたいから大丈夫だよ。」


友達になったら次は恋人になりたいんだけどね。


「良かった。それじゃあ行くよ。」そう言って川野くんは雨宮さんと踊っていた。羨ましい!私も荒木くんと踊りたいのに!


「体調が悪い」ということで後夜祭は見学にした。


見学しながらも私は荒木くんのことをかんがえる。


かっこよくて、優しくて、面白くて、不器用で、そして私の「初恋」で、今も「好き」な彼のことを考えていると、心が暖かくなって、体温が上がる。心臓がドキドキする。


彼に会いたい。後夜祭の間ずっとこんなことばっかり考えていた。
















少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをください!


「クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える」もよろしくお願いします!!


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