四十話 ランクアップテスト その③
お久しぶりです
ランクアップテスト当日までの〈アレウス〉での日々。
それはそれは大変な日々が続いていた。
[ランクアップテストまで、あと四日。午前五時]
「おはようございます。さて、場所は変われどなす事は変わりません。まずは素振り百回からです。では始めましょう」
「……眠むすぎて死にそう。今日はやめて明日から頑張るってことじゃ駄目? 昨日寝たの夜中の三時なんだよ」
「何を馬鹿なことを。駄目です。まだ二日目ですよ? こういうのは習慣付けることが大切なのです。辛いからと言ってやめてしまっては元も子もありません」
「ちっ、脳みそまでお堅いんだから……痛っ!?」
「何をしているのですかクズゴミ。もう始まってますよ。昨日言ったではないですか。五回遅れたら叩くと」
「くそ、スパルタ過ぎる……」
[ランクアップテストまで、あと四日。午後二時]
「ここのお化け屋敷は怖すぎね。おかげで寿命が一年は縮んだわ。吸血神の命を一年も奪った大罪、どう償って貰おうかしら」ブルブル
「こいつ、グングニルを抜きやがった……アティナ、そろそろハッキリ言っておく。ウケを狙っている訳でもなく真面目に言っているのなら、お前は馬鹿だ」
「私はいつだって真面目よ。それより私を馬鹿呼ばわりした罪はどう償うつもり?」
「何だやる気か。おもしれー。平和のために荒れ狂う神と戦うのはブレイブ冥利に尽きるというもの……仮にここでやられても後で必ず報復をーー」
「あの、お客様……喧嘩なら他所でやっていただきたいのですが……!」
「「す、すいません……」」
[ランクアップテストまで、あと四日。午後五時]
「クズゴミよ。俺たちはもう駄目だ。何もかもお終いだ」
「どうしたんすかグレイブさん。まさかこの間のことが警察に……?」
「そっちの方がまだよかった。何故かスピアが、兄ちゃんたち恥ずかしいからこの街にいる間は他人のふりをしてって言うんだ……ぉぉぉぉ……」
「それ絶対昨日のサウナ事件のせいですよ。宿中の噂になってましたもん。スピアちゃんも兄ちゃんの蒸し焼き三つも引き取らされて恥かいたって言ってーー」
「言うな、それ以上……。ラン兄もハルもショックで寝込んじまったし、俺も引きこもるわ。スピアが許してくれるまでな……」
「その内お見舞いに行きますよ」
[ランクアップテストまで、あと四日。午後十一時」
「それでよー、あたしがお兄ちゃんを奴のところまで連れてったんだぜー。初めて『スカイ・ドライブ』を成功させた瞬間だった訳だー。そこからあとはお兄ちゃんが一撃で奴を沈めてやったのよー」
「そ、そうか、兄妹して凄いな。あの……ところでエーテルさん。そろそろお勉強に戻るってのは……」
「もー少し聞けって、ピャウオリー兄妹の武勇伝をよー! で、そしたらいつの日から流火なんて異名で呼ばれるようになって……あ、コーヒーなくなった。淹れて」
「りょ、了解……」
「コーヒーコーヒー、コーヒーはどんな火だろうなー、アッハッハ」
「ちくしょう、酔っ払いめ。コーヒーに粉末酒を盛ってエーテルを酔わせて寝かせれば勉強会はおじゃんにできる作戦は失敗か……いや、おじゃんにはなったけど余計面倒になっちまった。素直に睡眠薬を用意しておけば……」ブツブツ
[ランクアップテストまで、あと三日。午前五時]
「うう、体がだるい……エーテルのクソ馬鹿が。結局オールだったじゃないか。喋り疲れたら自分はとっとと寝やがるしよ……」
「おはようございます。何をぶつぶつとぼやいているのですか。早速始めますよ。それと今日からスピアも一緒に特訓を行うことになりましたので」
「おはようクズゴミくん。兄ちゃんたちが塞ぎ込んでて修行相手がいないって話をしたら一緒にやろうってカオリンに誘われてーー」
「大歓迎だよスピアちゃん。よし、じゃあ張り切ってやっていこう」
「き、急に元気になりましたねクズゴミ……。昨日までの気怠い感じはどうしたのですか」
「やだなカオリン。僕はいつだって活力でいっぱいだよ。……ところで二人はいつの間にそんな仲良く……?」
「スピアと猫友なのです」
「あ、そういう感じ……」
[ランクアップテストまで、あと三日。午前十一時]
「あ、見てよクズゴミ、お面の屋台があるわ。……私、あの日以来お面を見るとあの事件のことを思い出して怒りが込み上げてくるの。あんたにね」
「っ!? う、嘘だろアティナ、勘弁してくれ。あの件はもういっぱい殴られたしアイスも沢山奢ってやって手打ちは済んでるじゃないか。それにあれは本当に僕じゃなくて何とかクラッシャーがやったんだって……」
「いや冗談よ。流石にもうどうこう言わないからそんなに怯えなくても。あと私が怒ってたのはそっちじゃないからね」
「ならいいけどさ……」
「へい! そこのお二人さん! よかったら見るだけでなくうちのお面買っててよ! 全部自信作ですぜ!」
「え……あ、じゃあこの星形のください」
「まいど!」
「次やったら本当のお星様にするつもりだけど」
「へ?」
[ランクアップテストまで、あと三日。午後八時]
「クズゴミ、お前昨日あたしに一服盛っただろ。飲んだ感じからして粉末酒だな?」
「はて? 何のことか僕にはさっぱりで……。仮に入れてたとしてもそれは砂糖と間違えただけで悪意があった訳じゃないよ、いやマジで」
「確かブラックを頼んでた筈だがな。それより……あたしはその時どんな話をした? 酔ってたせいで記憶が少し曖昧でよ……」
「お兄ちゃんラブラブチュッチュ大好き結婚したい愛してるって言ってたよ」
「っ〜〜〜〜〜〜!? いや、それは、ち、違うぜ! 酔ってただけだから、その……もう……!」
「顔めちゃくちゃ真っ赤だぞ。安心しろって、嘘だよ嘘。そんな恥ずかしいこと言ってないから泣くなって」
「よし分かった。お前はあたしに殺されたがってる」
「め、滅相もございません……」
[ランクアップテストまで、あとニ日。午前七時]
「防具の装着はいいですね? では、参ります」
「手加減を忘れずに頼むよ。……なあ、もし僕が勝ったら今日の訓練終わりでもいい?」
「構いませんよ。私がクズゴミに遅れを取るなど、万が一にもあり得ませんが」
「じゃあ準備はいい二人とも? いくよ……模擬戦開始!」
「はいゴキ○リ」
「「きゃ!?」」
「隙ありぃ!」
「あ!?」
「小手一本! 勝ったぁ! 終わり終わり終わり!」
「ひ、卑怯な! 騙し討ちなど勝ちの内には入りません!」
「何だぁ!? 負けたくせに僕の華麗な勝利にいちゃもんつける気かよ! 見苦しいやろうだ!」
「クズゴミくん……最低」
[ランクアップテストまで、あと一日。午後四時]
「「「カンパーイッ!」」」
「え、三人とも何の騒ぎっすかこれは。今朝お見舞いにきた時は魂抜けたみたいになってたのに」
「おう、クズゴミか。見ての通り、スピアが許してくれたよかったね、パーティーだ」
「実はスピアがやっと機嫌直してくれてよ。夜練に稽古つけてほしいって言われたんだ」
「一時はどうなるかと思ったが……いやー、よかったよかった」
「それはいいですけど、夜練するってのに今からちょっと飲み過ぎなんじゃーー」
「「「カンパーイッ!」」」
「き、聴いてないし……こりゃもう嫌な予感しかしないナ…….」
[ランクアップテストまで、あと一日。午後九時]
「ごめん、誤射だよ誤射」
「お前……寸止めしろって言ったのに……真っ白になっちまったじゃねぇか……部屋中が……『ハーミッド・クラウド』の煙でよ」
「いや、本当にごめん。まあすぐに消えるってーー」
「グズゴミ! 部屋に虫入ったからやっつけ、ぎゃあ!? 何よこの煙は!? 火事!? 火事!?」
「ちょ!? アティナ! はやく閉めて! 廊下に煙が出まくってる!」
「お客様いま火事と聞こえましたがーーひぃ! 凄い煙だ! 急いで非常ベルをーー!」
「うわぁ! 待って待って! 違う! これは違うんです!」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリーーーー!!
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ランクアップテストまで……あと零日。
翌朝。
結局あの後、火事の誤報で大騒ぎさせたということで、何故か僕が宿中の人達に謝りまくる憂き目にあった。
確かに騒ぎの元凶が僕の魔法の誤射とは言え、あんまりな展開だ。
まあ過ぎたことだからそれはもういいとして、今は別な問題が発生していた。
「何? 特訓の締めはアティナとのタイマン勝負だって?」
「そうです」
カオリンに告げられた内容に、一歩間違えば病院送りになりかねない予感をせざるを得ない僕。
模擬戦とは言え、虎視眈々と人の生き血を狙うような奴との手合わせなんて不安しかない。
「そんな不安がらなくてもちゃんと手加減してあげるから安心して頂戴。クズゴミ相手なんかにグングニルも魔法も使わないわよ」
「なんかは余計だ、なんかは」
不安がる僕の表情を見たアティナがそんな人を舐め腐ったことを言ってきた。
確かに戦力差は認めるが調子に乗りすぎだな。
おもしれー、吠えずらかかせてやる。
まあハンデが足りないと言いたいところでもあるが、アティナに悲鳴をあげさせるには今の装備でも事足りるだろう。
「そう言えばスピアちゃんは?」
「スピアはお兄さん方と特訓を再開すると言ってました」
それを聞いて残念だが少しホッとした。
この間カオリンとの模擬戦の時、狡いてを使ったからか、スピアちゃんに引かれてしまったからな。
これで今日は心置きなく手段を選ばずにいられる。
「では始める前に……エーテル、お願いします」
「よし。じゃあクズゴミ、まずは軽くジャンプしろ」
「え?」
突然何がなんだかわからないが、エーテルに睨まれた圧に負け、とりあえずその場でピョンピョンとジャンプする僕。
同時にポケットに入れてた小銭がチャリチャリと鳴る。
「……小銭か。問題無いと思うが、念のため没収だな」
「は?」
ポケットに手を突っ込まれ、中の小銭を全て奪取されしまった。
いきなりのショッキングな事態に僕、茫然自失。
「あの……何で急にカツアゲされたんだ、僕は?」
「カツアゲとは人聞の悪いな。ボディチェックだぜこれは。カオリンに頼まれたんだ。確かにお前、色々と仕込んでるもんな。という訳だ、ポケットの中身全部渡して貰おうか」
「ひでぇ……」
エーテルに脅すように言われ、渋々ながらもせっかくなので、僕はポケットの中で握ったものを見えないようエーテルの手にーー。
「あ! エーテル、気をつけて! もしかしたら中にはーー」
寸前、カオリンが注意喚起するがもう遅い。
既に僕はエーテルの手に握らせたところだ。
「嫌ぁ!? クズゴミあんた馬鹿なの!? 何でポケットに虫の死骸なんていれてるのよ!」
横で見てたアティナが悲鳴をあげていた。
身体検査がなければこれはアティナの服の背中に入ることになっていたがな。
「いや、意外と奇襲するのに役に立つんだよこれが。この間もこれのおかげでカオリンに勝ったしーー」
「はい?」
「すいませんすいません、あれはノーカンになったんでしたすいません」
この間の騙し討ちのことを口にした途端、カオリンからただならぬ殺気を感じたのですぐさま平謝りする僕。
あの後何回もボコボコにされたんだからもう勘弁してほしい。
「ところで二人とも、エーテルがなんか固まって動かなくなってるのだけど」
「「え」」
見ると、もう虫の死骸はないのに、エーテルが硬直したまま立ち尽くしていた。
アティナとカオリンが頬をツンツンと指でつつくが反応がない。
「や、やばい……エーテルってそんなに虫が苦手だったのか」
思ってた以上の効き目に、軽くエーテルの心配をする。
と、同時にエーテルが目覚めた時の僕の安否が猛烈に不安になってきた。
「……死んだわね、クズゴミ」
「死にましたね」
「へ……?」
アティナとカオリンでさえそんな事を言う始末。
それだけエーテルの怒りは凄まじく、致命傷を負う報復を喰らうのはもはや明白だ。
「僕、急用を思い出したから出かけてくるね」
「駄目です」
しかし、スタコラと逃げ出す僕の腕は、カオリンにガッチリと捕まった。
「う、うわぁぁ!? 何だよ! いいじゃないか見逃してくれたって! カオリンに被害は無いだろ!」
「私がエーテルに身体検査をお願いしたせいでこうなった以上、クズゴミを足止めしておく責任があるかと」
逃亡を阻害され慌てふためく僕に比べ、カオリンは冷静な強い意志を持っていた。
そう、人はいつだって自分でなく、人のための時の方が力を発揮する生き物だ。
責任感を敵に回すと面倒だと思い知った瞬間であった。
「ちっ、ならその責任とやら、いつまで果たす気でいられるか実験してーー」
「まあ落ち着きなさいよクズゴミ」
僕がまだボディチェックの済んで無いポケットから更なる昆虫を繰り出そうとした刹那、アティナが僕の肩をポンと叩いてそう言った。
ちなみに、アティナの一言でストップが入らなかったら、僕がカオリンに屠られていたことは言うまでもない。
「そもそも今から特訓するつもりだったんでしょ。なら特訓してエーテルが起きるまでにエーテルより強くなれば逃げなくてもすむじゃないの」
「う……ん?」
訝しむ僕をよそに、アティナは名案でしょと言ってくる。
血の女神様のお導きなんてあてにならん……と言いたいところだが……。
近接戦闘だけなら割といけるのではないか?
エーテルの戦法は魔法による遠距離攻撃がメインだからインファイトには不慣れかもしれないし。
となるとここ数日のカオリンとの特訓で結構鍛えられた僕の方に分があるかもしれないし。
僕が無理だと思い込んでるだけで、やれば案外いい勝負になるかもしれない。
「……よし、やるよ。やってやろうじゃないか。たまにはエーテルをギャフンと言わせてやる……!」
「その意気よクズゴミ。あんたはやる時はやる男だと信じていたわ」
「仇花に実は生らぬ、ですがね……」
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ランクアップテストまで、あと八時間。
夜中。
結局あの後、襲いかかってきたエーテルを相手取るも、一ミリも善戦することなく秒殺されるという憂き目にあった。
確かに少し意地悪してやろうという気持ちもあったが、そもそもポケットの中身を出せと言われたから出しただけなのに、あんまりな展開だ。
まあ何とか僕の能力でノーダメージでやり過ごせたのでそれはもういいとして、今は別な問題が発生していた。
「ぐ……くそ、ツケの精算がきやがった……」
ランクアップテスト本番に備えて早めに床についたのだが、苦しさで目が覚めた。
指一本動かすことすらキツいほど体が重く、シャツがべっちょりになるほどの発汗に、ところどころにある節々の痛みや、吐き気がある上に呼吸が苦しい。
言い表すなら、極限まで体力を搾り取ったような疲労を負った状態。
最近出るようになり、今日で三回目だ。
その症状が突然体に起こるのを、僕はツケの精算と呼んでる。
何のツケかと言うと、以前『オーバー・ザ・ワールド』で巨大宇宙船を転移させた時の代償のことだ。
ーー代償はチャラになった訳じゃありません。不定期で分割してくるのでーー。
と、死んだあの時に女神様が言ってたのを最近思い出した訳で、不定期に分割でくるってのがこの症状のことなのだろう。
「げほっ……がはっ……やべぇ、心臓も痛くてなってきた……」
そしてこれは異能力を過剰に使った時に現れる症状だ。
僕が能力を発動した際には体力を消耗し、更に限界を超えて長時間連続使用しているとこういう状態になる。
こうなってしまってはこれ以上の能力発動が出来る気がしないというもの。
まあ本来なら死んでるところをこれくらいで済むのなら安い気もするが……急に発症してあと何回あるか分からないのは地味に辛い。
「薬だ……薬を飲めば……!」
僕はベットから転げ落ち、床を這いずりながら自分のバックのところまで移動した。
前回までこの症状が出た時はとりあえず痛み止めを飲んで横になっていたが、今回は秘薬を用意してある。
「う、ぐぉぉぉ……もっと、近くに置けばよかった……」
這いつくばりながら必死に手を伸ばして、何とか机の上のバックを引っ張り下ろし、中から小さいな白い粉が入った袋を取り出した。
水を用意する余力がないので、そのまま口に流し入れ何とか飲み込んだ。
ちなみに、秘薬とは睡眠薬のことである。
寝てしまえば苦痛を感じることなく、症状が治まるまでやり過ごせるというグレートなアイデアだ。
「ごほっ、ごほっ……よし」
飲んで数秒。
粉薬で口がじゃりじゃりするなどと考えてる内に、さっそく激しい睡魔が襲ってきたので身を委ねるとする。
しかし今のところ発作は夜だけだからいいが、依頼中に魔獣とかから逃げてるときに起きたらどうしたものか。
「……すやぁ」
と、そんな不安を考えながらも、僕は眠りにおちてーー。
そして翌朝。
僕が熟睡から目を覚ますと、悲劇が降臨していた。
何故かアティナ達が医者を呼んできていて、しかも部屋の外には野次馬が集まっていて、更には警察まで介入しているという訳の分からない事態に陥っていたのだ。
「だって起こしに行ったら床に倒れてるし、叩いても揺すっても全く起きないからやばいと思って一応ドクターを呼んだわ。何かの薬を飲んだ形跡があったから、テストが嫌で早まった真似をしたのかしら」
by第一発見者のアティナ
「愚か……なんと愚かな……辛い現実から逃げるのに死を選ぶとは……。何故私に相談してくれなかったのですか、クズゴミ……残念でなりません」
byアティナのジョークを間に受けたカオリン
「ごめん……ごめんね……少し強く当たりすぎたのかな……」
by涙ぐむカオリンの様子を見て何か間違った結論に至ってしまった素の出るエーテル
以上の僕が起きるまでの三人の様子から、何故か僕がランクアップテストに出るのが嫌で服毒自殺を図ったことになり、たちまちその噂が宿中に広まったという。
宿側としても宿泊客が自殺したというただならぬ事件に警察に連絡。
朝っぱらからの警察沙汰に、何事だと人も集まってくる始末。
そんな寝起きにいきなりの収集のつかない展開を前に、流石の僕も何もかも捨てて逃げだすことを脳裏によぎらせるほどだったーー。
ーー結局その後、「眠れなかったので睡眠薬を飲んで寝ただけです」と説明したところ、医者と警察とついでに宿の人にも何故か僕が説教をされる憂き目にあった。
確かにお騒がせしたのは悪かったが、僕は寝てただけで周りが勘違いした訳なのに怒られるなんてあんまりな展開だ。
野次馬連中は事が分かると「つまんネ」とか言って散っていきやがるし。
そして元凶の僕と不謹慎なジョークを言ったアティナは、カオリンとエーテルにしこたま説教を喰らう羽目になったのだった。
五周年です




